Interview

ユニークな発想とAIの力で、
ニコンの製品に
画期的な進化を。

Kazuhiro Abe

先進技術開発本部 数理技術研究所 第一研究課
2017年入社
理工学部卒

現在の仕事

画像認識・機械学習の研究開発

Profile

Kazuhiro Abe

入社動機

技術開発に積極的な企業を探していたところ、ニコンに出会いました。特に、現実世界を捉え直すイメージング技術のレベルの高さに惹かれました。先輩たちの楽しそうな様子も決め手のひとつです。

異動歴 ※名称は当時のものです

2017年4月:コアテクノロジー本部 研究開発統括部 解析技術開発部 第三開発課

2017年6月:研究開発本部 解析技術開発部

2018年5月:研究開発本部 数理技術研究所

2021年10月:先進技術開発本部 数理技術研究所

One Day

09:00 共同研究を行っているアメリカの子会社との進捗共有ミーティング。
10:00 報告資料の作成。
12:00 昼食。出社したときは会社の食堂で食べることも。
13:00 事業部との進捗共有ミーティング。
15:00 論文調査。
16:00 アルゴリズムの実装、結果の確認・考察。
19:00 退社。友人と飲みに行くことも。

観客の視線を追うことで、
試合の撮影を自動化。

取り組んでいるテーマについて教えてください。

画像認識技術と機械学習を使い、スポーツ、特に球技の撮影を自動化することがテーマです。もともとニコンのイメージング技術は報道分野に強く、その中で新しいことができないかと考えたのが発端でした。このテーマが形になれば、スポーツ中継で使われるほどの劇的な映像を、自動的に撮影できるようになります。そのうえで重要になるのが、「撮影する領域を何によって決めるか」。シンプルに思いつくのは、「ボール」や「選手」を追うことですが、いずれも検知の難易度が高く、しかも視聴者が見たいシーンを必ずしも撮影できるとはかぎりません。たとえばボールだけを追えば、ゴールの瞬間を撮り逃がすことはなくても、そのあとに喜び合う選手たちの姿はスルーされてしまう。人が本当に見たがるものを確実に捉えるには、どうすればいいのか。私が思いついたのは、「観客の視線」を追うことでした。

観客の視線をどうやって追いかけるのですか。

簡単にいえば、観客席を撮影し、その映像を解析して観客の頭の向きを推定するという手法です。頭が向いている先にこそ、その人が注視したいものがあるはずですから。スポーツに限らず、広告の効果測定や、教育現場での集中度合いの測定、視線によるデバイス操作など、さまざまな分野への応用が考えられるところも魅力的でした。ただ、アイデアが変化球すぎたのか、会社で話した時のリアクションは戸惑いが大半といった感じです。それでも、「なんだか面白そうだから進めていいよ」と背中を押してもらえたのは、ニコンらしさだったのかもしれません。

世の中にないデータは、
自分たちでつくる。

現在も開発中とのことですが、どんな苦労がありますか。

AIに学習させる映像データの少なさはひとつの壁でした。試合映像は世の中にいくらでもあるのですが、観客を撮り続けているものとなると、どんなにライブラリを探してもほとんど見つかりません。結論は「自分たちで撮るしかない」。社内のツテを頼って3人制バスケットボールのチームにコンタクトを取り、実際の試合を撮らせてもらうことにしました。貴重な機会に備えて入念な準備を行い、当日は3台のカメラを持ち込んで撮影を敢行。そのデータを検証した結果、この手法が有効だという手応えをつかみ、さらに論文の発表にもつながりました。データ分析をしていると、どうしても「ありもの」のデータにこだわりがちなのですが、オリジナリティの高いデータを自分から取りに行く姿勢も大切なのだと改めて感じましたね。

ニーズを見つめ、
世の中に届く開発を。

ニコンで研究開発を行うよさは何でしょうか。

ここまでに語ったエピソードが好例ですが、チャレンジしたいことができた時、それを否定せずに協力してくれる人が揃っています。また、研究開発といえども、ニーズをしっかり踏まえたうえで進めていくのがニコン。その分、成果が世の中に届きやすいのではないでしょうか。私が配属されたばかりの頃は、「面白い技術ができたから、何かに使おう」という、技術先行型の開発が多かったと思います。そのほうが自由度は高いのかもしれませんが、ニーズと合わずに日の目を見ない場合もある。開発者としては、やはり手がけた技術をしっかり製品に載せ、世に問いたいもの。ニコンなら、マーケットの声と自分らしい発想を、バランスよく盛り込んだ開発が可能です。

私の2030年のありたい姿

ニコンのAI技術をリードするような存在になっていたいです。ニコンはカメラのオートフォーカス機能などにAIを導入していますが、まだまだ広げていく余地はあります。取り組んでいるプロジェクトなどを通じてスキルアップを図り、ニコンにおけるAI活用の可能性を探っていきたいと思います。

HOLIDAY

行ったことのない場所に行くのが好きなので、オフは旅行に出かけることも多いですね。アクティブに動き回るより、じっくりと散策を楽しみ、その場所の空気を味わうようにしています。ニコンはスケジュールを柔軟に調整しやすい会社。そのメリットを活かして長めの休みを取り、たっぷりリフレッシュする時もあります。

Movie

動画でも見る

※社員の所属やインタビュー内容は取材当時のものです