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クリーンで持続可能な社会、宇宙産業を支える

材料加工技術と計測・検査技術でものづくりを革新するニコンの精密加工技術は、リブレット加工、アディティブ加工、精密除去加工として、レーザーを用いたさまざまな材料加工を高精度で容易に行うことができます。
これら幅広い応用が期待できるレーザー光加工技術や 既にご評価頂いているレーザーレーダー、 X 線、 CT 検査装置など計測・検査技術も加え、 デジタルマニュファクチャリングの価値と可能性を最大限に実現する、革新的なソリューションを提供します。

リブレット加工

Solution流体の摩擦抵抗を低減すると言われるリブレットの構造および効用

リブレット加工とは、素材の表面に周期的な微細な溝を作り、水や空気中を移動する際の摩擦抵抗を低減させる加工です。1970年代後半、サメ肌のリブレット模様にヒントを得て研究が始まり、水着にも取り入れられるようになりました。

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サメ肌の表面は、目には見えないミクロの鱗で覆われています。科学者たちは、この鱗の形と配列がリブレットのように乱流の影響を軽減し、サメが非常に速く効率的に泳ぐことを可能にしていると考えています。リブレット加工は、人工物の表面に同じような構造を作り、自然を模倣する技術であることから、バイオミメティック技術と呼ばれています。
ニコンのリブレット加工機は、金属、樹脂、繊維強化プラスチックなど、さまざまな素材に対応します。また、3次元の複雑な曲面にもリブレットを形成することができます。どんなに複雑な形状でも、深さ、幅、方向など、適切なリブレットパターンを作成することができます。
リブレット加工は、すでにレース用ヨットや航空機の性能向上、燃費改善に利用されており、今後は貨物機にも利用が拡大される見込みです。船舶や航空機の推進力は、機体表面が運行中に受ける摩擦に大きく影響されるため、その摩擦抵抗を低減させる技術の導入に注目が集まっています。
ニコンはリブレット加工技術とモビリティを組み合わせ、求められる場所での技術利用を可能にします。
カメラを目、レーザーを工具として移動ロボットに搭載し、カメラで対象物を撮影しながらレーザーを正確に当てることで、風車の羽根のような巨大構造物にもリブレット加工が施せます。カメラとレーザーはドローンにも搭載でき、高い位置にある対象物へのリブレット加工も可能になります。目で取得した結果を事前予測と事後確認に利用することで、自律制御が可能となり、全てを自動で行えるようにします。
これらの技術により、山間部や洋上など厳しい環境下で建設される風力発電機にリブレットが適用される未来をニコンは描いています。

Case Example航空機での実証実験

ニコンは、航空機の燃費改善やCO2排出量削減に寄与する、ニコン独自のリブレット加工を施したフィルムを提供しています。
ANAは実証実験の第1弾として、ニコン独自のリブレット加工を施したフィルムを試験装着した「ANA Future Promise Jet特別塗装機(ボーイング787型機)」2機を2022年10月5日より運航開始。
そして、第2弾として、2023年10月23日より「ANA Future Promise特別塗装プロペラ機(DHC8-Q400型機)」の運行を開始しました。「DHC8-Q400型機」では、ボーイング787型機のような上空10 km以上の高高度ではなく、低高度における耐久性や影響を評価することが可能になります。

サメの肌に着想を得たサステナブル・テクノロジー

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ニコンは、JAL、JAXA、オーウエル株式会社とともに2022年7月より、世界で初めて※機体外板の塗膜上にリブレット※2を施工した航空機による飛行実証試験を進めています。
これまではデカールやフィルムにリブレット加工を施して機体に装着する技術は存在しましたが、塗膜に直接リブレット形状を施工することにより、重量の軽減や耐久性の向上が期待できます。

※ 2023年2月28日時点で発表済みの航空機において。JAL、JAXA、オーウエル、ニコン調べ。

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アディティブ加工

Solution金属造形の世界を拡げるアディティブ加工

アディティブ加工とは、設計データをもとに 金属 3D プリンターで部品などに 自由度の高い立体物を作る加工方法です。
素材を削り出したり、金型に流し込んだり、変形させたりすることで造形する従来の方法と比べ、アディティブ加工では複雑な形状の部品を作れるほか、部品の一体化などで強度を高めつつ軽量化できるメリットがあります。

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アディティブ加工の技術自体は1970年代頃から存在しましたが、費用や汎用性などに課題があり、広く普及はしていませんでした。しかし近年では、技術革新にともない高精度・高速・低価格での造形が可能になり、エンジンの部品や工具、医療用の人工関節など、幅広い製品の製造に使われています。今後、耐熱性・耐久性・耐蝕性が求められる宇宙航空分野や、軽量化で航続距離が伸びる電気自動車といった幅広い分野で成長が見込まれています。
ニコンの金属 3D プリンターは、金属粉末をレーザーで溶かして造形する仕組みであり、ニコンが 100 年以上にわたって培ってきた光利用技術が活用できる領域です。加えて、半導体露光装置などで培った精密な位置決めの技術や、レーザー加工中に生じている現象をモニタリングする画像技術なども活かすことができます。
こうした技術により、今まで廃棄せざるを得なかった金型や複雑で欠損すると使えなかった部品を補修し再利用することができたり、より強度や精度が求められる衛星関連部品においても一体成型することで耐久性を上げたりと、様々な社会課題の解決に貢献し、航空宇宙やエネルギー産業、自動車産業といったものづくりの未来に、新たな価値を提供したいと考えています。

Case Example加工事例

  • 既存部品の補修

    ニコンの金属3Dプリンターは、破損・摩耗した部品に対して、金属の肉盛りにより補修することが可能です。

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  • 既存部品への付加積層造形

    ニコンの金属3Dプリンターは、既存品に対して別の形状を新たに付け加える“付加積層造形”を行うことが可能です。

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  • 機能付与造形

    ニコンの金属3Dプリンターは、固い材料(ハイス鋼等)で金属表面にコーティングを行い、耐摩耗性能を向上させたり、金属製の点字ドットなどを造形させたりすることが可能です。

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