未来のクリエイターたちと一緒に探る
映像表現の可能性

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MR(Mixed Reality)、メタバース、生成AI…。テクノロジーの進化によって、映像表現の可能性は大きく膨らんでいます。ニコンは、2022年発表の中期経営計画で定めた価値提供領域のひとつに「ライフ&エンターテインメント」を据え、サステナビリティ戦略の中で、映像機器・3D/4D技術等で、豊かでクリエイティブな映像表現・文化に貢献することを目標に掲げています。そして2022年、この目標を具現化するために営業を開始したのが、グループ会社ニコンクリエイツです。
2023年7月、ボリュメトリックビデオやバーチャルプロダクションなど最先端テクノロジーを備えた同社の複合施設「平和島ステージ」に、未来のクリエイターたちがやってきました。若者たちに新しい映像表現を学ぶ機会を提供すると同時に、若い発想からニコンクリエイツも学びを得る。共に映像表現の新しい扉を開く試みです。さあ、どんな可能性が見えてきたのでしょうか。

3年後、5年後、どんな映像が生まれるだろう?

「平和島ステージ」に訪れたのは、クリエイターを目指し、学校法人恭敬学園で創作・勉強に励む高校生の皆さんです。全国5つのキャンパスのうち、東京、横浜、仙台、名古屋から集まりました。生徒さんたちには最先端の現場を見てもらい、その後ワークショップを通じて映像表現の新しい可能性を探ってもらいました。
この課外授業は、プロの現場に触れてもらいたいという学校の願いと、未来のクリエイターたちの発想を映像技術活用のヒントにしたいというニコンクリエイツの想いから企画されたものです。
「当社の映像技術は、日本ではまだまだ新しい、これからのものです。この技術が当たり前になるのは、3年後、5年後、ちょうどみなさんが社会人になったときでしょう。大人では思いつかない、枠にとらわれないアイデアで、わたしたちを驚かせてください」と、ニコンクリエイツ代表取締役 兼 社長執行役員の平野和弘が激励の挨拶をしました。

最先端映像技術が、未来のクリエイターたちをインスパイア

まず見学したのは、バーチャルプロダクション※1のスタジオです。巨大なLEDパネルが設置され、その前には一台のオープンカー。パネルには流れゆく景色が超高精細に投影され、あたかもオープンカーが疾走しているような動画を撮影できます。近年、アクションやSFなどの映画で使われている技法です。
初めて目の当たりにする最新技術に大きな歓声。「すごいリアリティー」「こんな技術が使えたら、なんだってできそう」。
「背景だけではなく上や横にもパネルがあるのは、車体にも流れる景色が映り込むようにしているんです」と平野。現場の知見にも、生徒さんたちは興味津々です。

  1. ※1 バーチャルプロダクション:背景を表示した大型ディスプレイや、グリーンバックなどを用いて、背景の動きやアングルを被写体に連動させながら、撮影・合成する技術。
    ロケ地の天候、時間に左右されず、大きな美術セットを建て込む必要もないため、多くの資源やエネルギーの消費、廃棄物の発生を抑えられ、コスト削減と共にSDGsへの貢献が期待できます。

次は、ボリュメトリックビデオ※2のスタジオ「POLYMOTION STAGE」へ。
100台を超えるカメラで被写体を360度撮影し、髪や服の動きまでリアルな3D映像データを生成。編集画面の中で、被写体を自由自在に動かせます。
「撮影した後にアングルやズームを変えられるんですか?」「ライティングはどうするんですか?」など、次々に質問が飛び出しました。

  1. ※2 ボリュメトリックビデオ:ニコンクリエイツのボリュメトリックビデオは、被写体の周囲360度を、100台以上のカメラで撮影/合成することで空間全体を3D動画データ化し、高品質データを生成することが出来る特徴があり、多種多様な作品への活用が可能。
    VR(仮想現実)に加え、現実と仮想をクロスさせるAR(拡張現実)や MR(複合現実)にも対応。XR(クロスリアリティ)の分野でも高い可能性を期待されています。

ワークショップで見えてきた、映像表現の可能性

「平和島ステージ」の見学後は、ワークショップです。複数のグループに分かれ、最先端映像技術を使った新しい映像表現のアイデアを議論。その後のプレゼンテーションに、ニコンクリエイツのメンバーも聞き入ります。
「アニメーションに応用したら、きっとこれまでにない映像が創れるはず」「その場にいながら世界旅行や美術館巡りができる」など、ユニークなアイデアが発表されました。

生徒さんたちのアイデアを一部ご紹介します

  • バーチャル美術館

    メタバース内で美術品の鑑賞・売買が行える。仮想空間なので好きな時間、好きな場所からアクセスできる。動く作品や、現実空間では創造できない作品も対象にできる。

  • 仮想ライブハウス

    ライブを仮想空間で実現。最前列はもちろん、ステージ上でもライブを楽しめる。また、憧れのアーティストと並んで、一緒に演奏することもできる。

  • 3Dファッションデザイン

    3D空間内で、服のデザインなどが行える。平面ではなく立体でデザインを行うため、実際の仕上がりに近いイメージで制作が行える。

  • ボリュメトリックス撮影ボックス

    3D空間で使えるアバターを、証明写真感覚で簡単に撮影できるボックス。身長や体形などをスキャンするため、メタバース内でファッションアイテムや家具などを購入するのに役立つ。

次世代クリエイターとの共創は、これからもつづく

課外授業を終えた生徒さんたちに感想を聞いてみました。「新しいテクノロジーに、最初はただただ驚くだけでしたが、お話を聞いているうちに、いつかは使って何か面白いことをやってやろうと思いました」(東京の生徒さん)。「3DCGに興味があり、その道に進みたいと思っているのですが、モチベーションがますます高まりました」(横浜の生徒さん)。「将来、ニコンクリエイツさんと一緒にチャレンジできるようなクリエイターになりたいです」(仙台の生徒さん)。
引率された先生にもお話を伺いました。「今回、見学させてもらった技術が普及する頃には、生徒たちの世代が中心になっているでしょう。非常に有意義で、貴重な体験になりました」と語るのは、横浜キャンパス副校長の丹下哲成さん。

ニコンクリエイツは、「最先端の映像テクノロジーとクリエイティブな感性との融合」「次世代クリエイターとの共創」をビジョンに掲げています。
ニコングループは、これからも次世代のクリエイターとのコラボレーションの仕方を様々な形で探りながら、映像表現の可能性を切り拓いていきます。

ニコンクリエイツ

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持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)

国際社会が持続可能な発展のために2030年までに達成すべき目標で、国連総会が2015年に採択した。貧困、飢餓、教育、気候変動に関してなど、合計17の目標からなる。