レーザーを使って高精度な金属造形を実現するニコンの金属3Dプリンターには、DED(Directed Energy Deposition)方式とPBF(Powder Bed Fusion)方式の2種類があります。ここではレーザーで金属を溶融しながら金属粉体を投入し積層していくDED方式によるAdditive Manufacturing(アディティブ・マニュファクチャリング)の事例を紹介します。金属製インペラやかくはん棒の造形、肉盛加工によるタービンブレード補修など、これまでは難しかった既存部品への複雑な造形や精密な補修などが可能となり、金属造形の可能性が拡がります。
ニコンの付加加工が実現する4つのポイント
X,Y,Zの3軸に回転の2軸を加えた5軸造形で自在な付加加工を実現
金属粉体の再利用やサポート材レスなど、環境への配慮を追求
標準的な金属3Dプリンターと比べて圧倒的な省スペース設計
独自の測定・測距技術で位置決め作業を簡素化し、工程集約に貢献
機械加工で金属製インペラを製造する際、刃物工具の干渉を回避するため加工形状に制約がありました。しかし、ニコンのDED方式金属3Dプリンターは既存部品にブレードを直接造形する付加加工が可能です。さらに、X,Y,Zの3軸に回転の2軸を加えた5軸機構※により5軸造形が可能なため、形状の制約はほぼありません。あらかじめ準備した基材に付加加工することで製作リードタイムの短縮も実現します。また、DED方式はPBF方式とは異なりサポート材が不要なうえ、金属粉体の再利用も可能なので、環境への負荷低減にも貢献します。
かくはん棒は、製造ラインや研究工程で液体を混合させる際に使用するため、化学薬品や食材など、用途に応じて細やかな調整が求められます。DED方式による金属3Dプリンターは自由度の高い積層造形ができるため、長さや径、ピッチといった任意の条件に応じて最適な形状に付加加工が可能です。さらに、従来の金属3Dプリンターと比較して床面積約1/10、重さ約1/5と省スペースなため、設置場所に制限のある空間でも導入可能です。
付加積層造形の事例について、詳しくはこちら
タービンブレードの補修は、補修部位の表面に金属を溶接して必要な寸法に溶着させる肉盛加工で行います。従来は手作業で行っていたこの作業を、ニコンのDED方式金属3Dプリンターは自動で行うことができます。まず、3D計測機を使って破損部位の形状計測を行い、理想形状からの差分を抽出し肉盛りすべき部位の形状モデルを作製します。そしてマシン座標系において加工パス自動生成を行い、補修します。仕上がりも極めて高精度なため、切削による後加工は不要。さらに、ニコン独自の測定・測距技術により、ワークの位置などを自動で把握することが可能です。職人技だった「位置決め」が簡単にできるため、使いやすさの向上と工程集約に貢献します。
肉盛加工による補修事例について、詳しくはこちら
金型表面の一部にハイス鋼0.5mmの薄肉コートを施した事例です。摩耗の激しい箇所に高硬度な材料を薄肉コーティングし、適切な後処理加工を行っています。金型は使用していくうちに摩擦によって表面が摩耗していきます。金型の摩耗は品質維持に関する影響が極めて大きく、定期的なメンテナンスが必要となります。しかしこの加工により、金型表面の耐摩耗性を向上させることができ、金型の寿命を改善させるとともにメンテナンスコストの低減が可能となります。
通常は樹脂で製作されることの多い点字板を、ニコンのDED方式金属3Dプリンターを用いることにより金属で製作できます。点字板のドットを造形するにあたっては点の大きさや丸みなど細やかな精度にこだわり、実際に視覚に障がいのある方に触れていただきながら、形状の最適化を徹底的に追求しました。金属製の点字板は接触による摩耗や風雪による経年劣化などが少ないため、屋外をはじめ活用の場が広がることが期待されます。
機能付与造形の事例について、詳しくはこちら
ニコン独自のDED方式金属プリンターを用いることで、既存部品への新たな機能付与、精密なリペアの実施など、金属を用いた付加加工を可能とします。
計測と造形を融合し、既存品に対して別の形状を新たに付け加える「付加積層造形」を行うことが可能。多種多様な金属加工のニーズに応えます。
金属3Dプリンターと3Dスキャナーを連携することにより、高精度かつ自動化されたタービンブレードや金型などの補修ソリューションを提供します。
株式会社ニコン
アドバンストマニュファクチャリング事業部
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