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家庭や街中で目にするフラットパネルディスプレイ(FPD)は、家庭用の薄型テレビをはじめ、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなど、幅広い用途で利用されています。
FPDの中でも主流となっている液晶・有機ELディスプレイについて、その仕組みとFPD露光装置による製造工程をご紹介します。
FPDの画面は「画素」とよばれる微細な点の集合体です。画素の明るさを調整することで、さまざまな映像を映し出しています。
液晶ディスプレイ(LCD)は、それ自体が発光するわけではなく、画素を通る光の強さを調整するシャッターの役割を担っています。
有機ELディスプレイ(OLED)は、発光層が有機化合物でできた発光ダイオード(LED)を利用した表示装置です。LEDは電流を流すと自ら光り、流す電流の量を変えることで発光する強さの調整も可能です。
LCDもOLEDも、ひとつの画素は赤・緑・青の3色で構成され、それぞれの色に光を通すためのスイッチ機能を持った薄膜トランジスタ(TFT)が付いています。
TFTとはディスプレイの画素を制御する回路のことで、アモルファスシリコンを代表とする半導体でできています。
画素数が800万を超える4Kディスプレイは、LCDでは2,400万個以上、OLEDではその数倍にもおよぶTFTの数が必要となります。これらひとつひとつのTFTをガラスプレートにパターニングするのがニコンの「FPD露光装置」です。
FPD露光装置は、TFT回路パターンが描かれた原版のフォトマスクに光を照射し、レンズを通してガラスプレートに回路パターンを露光。大型のガラスプレートでは、複数回にわたって露光を繰り返すことでガラスプレート全体に回路を形成していきます。
ニコンのFPD露光装置は、精度や生産性に優れるマルチレンズ・スキャン方式を採用しています。
現在、最も大きな第10.5世代のガラスプレートは、3.37m × 2.94mものサイズになります。ニコンはこの超大型ガラスプレートにも対応し、65インチ以上の大型パネルを効率よく生産できる「FX-103SH/103S」を出荷。量産現場での生産性向上に大きく貢献しています。
高解像度に対応するフラットパネルディスプレイ(FPD)を製造するには、レンズでの精密な露光に加え、ガラスプレートの正確な位置決めや、表面のわずかな歪みの計測・補正など、極めて高度な技術が必要不可欠です。
ニコンは、こうした技術の多くを独自に開発。FPD露光装置に搭載することで、美しく鮮明な高解像ディスプレイ表示を実現。さらに、優れた生産性により量産現場のニーズにも応えています。
高度情報社会の発展とともに、年々大型化が進むガラスプレート。より多くのパネルを切り出すようになると、一回の露光でより広い範囲へのパターニングが可能な高い生産性が求められます。
これを実現するためにニコンが独自開発した技術が「マルチレンズシステム」です。ニコンでは複数のレンズを2列に並べることで、広い露光範囲を確保。最も大きなFPD露光装置であるFX-103SH/103Sでは、14本ものレンズを並べ、これを1本の巨大レンズのように精密に制御して露光しています。
ガラスプレートの表面には、生産工程で受ける熱などの影響によって歪みが生じます。ニコンのマルチレンズシステムは、この歪みを正確に検出した上で、レンズ1本1本の転写像の位置や焦点位置を細かく制御して補正する機構を搭載。プレート面のわずかな歪みにも追従し、高精度な露光を可能にしています。
ニコンは、FPDの製造分野で1986年に発売したNSR-L7501G以来、数々のFPD露光装置を開発・販売。大型パネル向けFPD露光装置をリードする一方で、スマートフォンやタブレット端末用途の高精細中小型パネル向けFPD製造に最適な露光装置も提供しています。
たゆみない研究・開発により、ニコンはFPD露光装置のリーディングカンパニーとして、常にユーザーのニーズを重視したFPD露光装置の未来を切り拓いていきます。
幅広い分野での活用をご検討中の方、
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株式会社ニコン
精機事業本部 FPD装置事業部
FPD製造メーカーをはじめとしたお客様のさまざまニーズに応えるFPD露光装置システムを提供しています。
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