Interview

ニコンの先端技術で作る
「史上最も精密な機械」に携わる価値

株式会社ニコンが、カメラなどの映像事業と並んで主力事業として位置付ける精機事業。世界トップレベルの光学技術などを結集し「史上最も精密な機械」とも称される半導体露光装置を手掛けています。世界で半導体の需要が急増する現在、半導体装置事業部はどのようなビジョンを見据えているのでしょうか。同事業部の技術者を募集するにあたり、開発統括部で統括部長を務める白田陽介氏と、半導体露光装置の開発などにあたる2名の技術者にお話を伺いました。

出典:ビズリーチ 公募ページ「株式会社ニコン」(2022年10月18日公開)より転載

#01

世界的な注目が集まる、
ニコンの半導体装置事業とは

半導体装置事業部 開発統括部 統括部長/白田 陽介

今回、新たなメンバーを募集する半導体装置事業部開発統括部の概要を教えてください。

ニコンは、カメラをはじめとした「映像事業」で広く知られていますが、それに加え、半導体の製造装置を取り扱う「半導体装置事業」やフラットパネルディスプレイの製造装置を取り扱う「FPD装置事業」を有する「精機事業」も展開しています。当社では映像事業、精機事業の2つを中心的な事業として位置付けており、私たちはこのうち半導体装置事業の開発領域を担っています。

半導体は近年、スマートフォンやパソコンはもちろん、自動車や家電製品など実にさまざまな製品に使われるようになりました。さらに新型コロナウイルス感染症の拡大以降は、リモートワークの急速な普及でパソコンやスマートフォンなどの需要が高まり、加えて在宅時間の延伸に伴って家電の需要も急増しました。このような世界的なデジタルシフトの影響を受け、現在グローバル規模で半導体不足が叫ばれています。今後、半導体市場はますます拡大していくことでしょう。それに伴い、私たちの仕事の重要度もさらに高まっていくと考えています。

実際に、どのような製品を手掛けているのでしょうか。

私たちの主力装置は半導体露光装置です。半導体露光装置は、半導体の素材であるシリコンウェハに電子回路のパターンを転写するための装置です。紫外線レーザーなどを投影レンズに当て、シリコンウェハに何重にも転写することで、複雑な回路の半導体が出来上がります。そのため半導体露光装置には、光学技術や超精密メカ構造、制御技術、操作用のソフトウエア技術など、多種多様で高度な技術が結集しています。

そのほか、回路のひずみやずれを高速で検知する検査装置など、半導体露光装置をサポートする周辺機器も開発し、製品化しています。

事業の展望や注力していることなどについて教えてください。

ニコンは、2022年度からの中期経営計画で「未来を切り拓くソリューションを顧客に提供し、デジタル社会を支える」という、ありたい姿を設定しました。その実現に向けて、私たちは半導体露光装置などの提供を通じ「半導体業界にとってなくてはならない存在」を目指します。

現在、半導体装置は過渡期にあります。これまで、半導体装置では「いかに半導体のパターンを微細化できるか」「どれだけ回路の集積度を上げられるか」といった、最先端技術の追求がトレンドでした。しかし、昨今では半導体の活用シーンが多様化し、コストダウンなどの観点から10年以上前の技術を用いた半導体装置の需要も高まりつつあります。過去の製品のなかには、部品が生産終了してしまったものも少なくないため、過去の技術を現在の部品や素材で再構成することが必要です。こうした状況を踏まえ、私たちは、最先端技術の追求を続けるとともに、お客様の幅広いニーズに対応できる組織づくりを進めています。

スペシャリストたちが力を合わせることで、
高度な技術が生まれる

半導体装置事業部開発統括部で働く魅力は何でしょうか。

まずは、世界でも有数の高度な技術を用いて製品開発ができることです。カメラの分野で培った光学技術は世界トップレベルですし、装置制御技術は1桁nm(ナノメートル)の精度に達しています。そのほか、お客様とのコミュニケーションを通じて装置を構想する「システム設計」、システムを具体化、すなわち図面化する「機械設計」「電気設計」、それらを組み合わせて製品をコントロールする「制御開発」、コンピューターで操作するための「ソフトウエア開発」など、それぞれの領域で私たちは高い技術力を有しています。これらが一体となった環境で製品開発に携われるのは、大きな魅力といえるでしょう。また、私たちのお客様は海外にも多くいるため「グローバルな環境で成果が出せる」ことも、やりがいにつながると思います。

私自身、システム設計を長きにわたって担当していましたが、数々の議論を重ねて完成した製品が納入先で多大な成果を上げていると知ったときの喜びは、他に変えがたいものでした。さらに、世界最先端の半導体メーカーの技術者たちと意見を交わしながら、装置の改善を進めていった経験も、自らが技術者として成長するうえでなくてはならなかったと思います。

どのような方が、半導体装置事業部開発統括部の技術者に向いていると思われますか。

システム設計からソフトウエア開発まで、開発の全領域で人材を求めています。そのため、専門性の高いスペシャリストの方や、スペシャリストを目指したい方にぜひご応募いただきたいです。

加えて、他の技術者と協働し、ともにゴールを目指せるような姿勢も求めています。半導体装置には多種多様で高度な技術が結集しています。つまり、半導体装置は一人のスペシャリストだけでは開発できないのです。だからこそ、他の分野の技術に敬意を持ってコミュニケーションできるマインドを重視したいと考えています。

#02

お客様や装置そのものを理解し、
ニーズを超える開発を実現する

半導体装置事業部 開発統括部 第四開発部 第二開発課 課長/杉本 彩子

杉本さんは新卒でニコンに入社されたとのことですが、現在にいたるまでのキャリアについてお聞かせください。

私は入社以来20年ほど、半導体装置事業部で勤務しています。学生時代は化学工学を専攻していたので、当初からニコンを志望していたわけではありませんでした。しかし就職活動のなかで、ニコンがカメラだけではなく多岐にわたる事業を展開していることを知り、興味を持つようになりました。

私は青森県の出身なのですが、ニコンは遠隔地医療に関わる電子カルテ事業も展開していて、「地元に役立つ仕事ができるかも」と感じたことも入社を希望したきっかけです。

私が半導体事業部に配属された背景には、当時ニコンで、半導体露光装置に機械学習を応用する構想があったことが影響しているようです。学生時代に機械学習を学んでいたこともあって、入社から3年ほどは、機械学習を用いて半導体露光装置のステージの制御パラメータに自動調整機能を実装するプロジェクトに従事しました。

その後はステージ以外の機能にも携わり、次第にアルゴリズムを組む立場から、半導体露光装置の全体設計を手掛ける立場にシフト。現在は第四開発部の第二開発課課長として、半導体露光装置のメインソフトウエア開発を担当しています。

第四開発部第二開発課はどのような組織なのでしょうか。

第四開発部は総勢100名程度、そのなかで第二開発課は40名程度のチームです。社員は主に、メインソフトウエアの上位仕様の作成をミッションとしており、その全体の取りまとめを行うのが私の役目です。

メインソフトウエアは半導体露光装置のモジュールを統合する主要機能であり、お客様のニーズを実現するインターフェースでもあります。そのため、ニーズを深く理解し、時にはお客様が想定していないケースも織り込みながら、仕様を作り上げることが重要です。

現在の業務を担当するうえで大切にしていることはありますか。

お客様から要求される機能や機能を実現するためのアルゴリズムの理解だけではなく、要求したお客様自身や実装した機能を動かす装置そのものを深く知ることです。入社直後に従事していた機械学習のプロジェクトでの経験が教訓になっています。最終的に機械学習機能の実装を断念することになってしまったのですが、そのときに「装置全体の知識が足りず、お客様がどのように装置を利用するかについても深く知らなかった」と反省しました。

半導体露光装置は膨大な機能を搭載しているため、機能の一部に精通しているだけでは技術者として不十分です。お客様の使い方なども含めた装置の全体を俯瞰できなければ、良いものは作れないと思います。だからこそ、今ではできるだけ多くの人々と関わり、さまざまな知見や情報を仕入れながら、業務にあたるよう心がけています。

ニコンの風土・就業環境だから
キャリアを築くことができた

業務を通して感じる、半導体装置事業部で働く魅力について教えてください。

まず、上司・部下に関係なく意見を交わせることです。半導体露光装置は機能が膨大で複雑な分、解決する課題も多いです。そうしたなかでは、上司が答えを持っていないことが珍しくなく、互いに議論して正解を探っていくことが前提になります。半導体装置事業部のメンバーが誰の意見にでも真摯に耳を傾けてくれるのは、さまざまな技術が集まって形となっている半導体装置の特殊性が関係しているのだと思います。

また、ライフステージが変化しても、キャリアへの影響が小さい点も魅力だと思います。私は3回の産休・育休を取得していますが、常に働く環境が向上しているように感じています。体調や家庭の事情で働き方を変えなければならないこともありましたが、メンター制度などを通じて、キャリアの困りごとを受け止めてくれる体制があります。そのため、自分だけで悩みを抱えることなく、周囲に頼りながらキャリアを築くことができました。

そして何より、技術者としてやりがいのある仕事ができることです。半導体露光装置には膨大な技術要素が詰まっているので、それぞれのメンバーが興味のある分野に携わることができます。事業部内には工学だけでなく、物理や数学を専攻していたメンバーなど多様な人材が在籍中です。また、学会での発表や特許出願も経験できるなど、技術者として成長できる環境は確実に整っていると感じています。

どのような方が、半導体装置事業部開発統括部の技術者に向いていると思われますか。

スキル面でいえば、ソフトウエアを完成させた経験のある方なら活躍しやすいと思います。開発の全体を俯瞰し、人を巻き込みながらプロジェクトを完遂した経験は十分に生かせるはずです。マインド面でいえば、さまざまなことに興味がある方でしょうか。実際に、半導体装置事業部では、多趣味で好奇心にあふれたメンバーが活躍しています。一つの技術に精通しながらも、さまざまな物事や人に関心を持てるという方と働けることを楽しみにしています。

#03

ニコンの魅力は「事業の将来性」と
「職場環境の充実」の両立

半導体装置事業部 開発統括部 第一開発部 第二開発課/遠藤 賢司

遠藤さんがニコンに転職をした経緯についてお聞かせください。

前職では複合機メーカーの技術者として働いていました。当時はプリントの最終工程であるトナーの定着技術を担当していたのですが、新たな技術に触れるなかで開発に従事したいと思うようになり、転職を考えました。

私は学生時代に半導体トランジスタの研究をしていたので、もともと半導体には興味がありました。半導体という成長産業に携わり、新たな技術や開発を経験して、技術者として成長したいというのが、ニコンへの入社の決め手です。また、当時は子どもが生まれたこともあり、ニコンの働き方改革や社内の風通しの良さから仕事と家庭を両立できる環境だと感じたことも入社を後押ししました。

どのような業務を担当しているのでしょうか。

私が担当しているのは、半導体露光装置におけるオートフォーカス技術のシステム設計です。半導体露光装置では正確にパターンを転写するため、シリコンウェハを乗せたステージを適切な距離に固定しなければなりません。そのステージを制御するシステムの開発が、私の仕事です。

オートフォーカス技術の難しいところは、高い精度はもちろん、お客様のニーズへの対応も求められるところです。例えば、「シリコン以外のウェハにパターンを転写したい」といった要望を受け、新たなソフトウエアを開発しました。多様なニーズをくみ取りながら、いかにお客様の課題を解決していくかが、この仕事の腕の見せどころです。

私が所属しているのは7名ほどのチームで、メンバー間で知見を共有しながら、他部署とも連携して開発に取り組んでいます。海外のお客様も多く、業務では英語を用いる機会も多いのですが、技術者同士なのでコミュニケーションにはそれほど難を感じません。最近では翻訳ツールも進化していますし、言葉の壁を感じることはあまりないと思います。

世界から注目を集める
半導体市場で活躍する喜び

遠藤さんは異業界から入社をしていますが、どのようにして知見を深めていったのでしょうか。

OJT研修のなかで多くのことを学びました。半導体装置の技術は専門性が高いので、現場で学びながら知識を深められたことで、入社1カ月後ほどで少しずつ仕事を任されるようになり、自然と開発業務に入れました。

また、半導体装置事業部は教育資料が充実しているため、知識でつまずいても心配はいりません。半導体装置の全体像から細かい技術までを網羅した資料や動画の教材がそろっていますので、知識を広げることができます。加えて、ニコンではチャットツールでのコミュニケーションも盛んで、分からないことを投稿するとチームのエンジニアがすぐに答えてくれます。このような充実した環境があるので、メーカー等でエンジニア経験がある方なら、すぐに活躍できると思います。

業務以外では、入社直後にキャリア入社研修がありがたかったです。同時期に入社したエンジニアのメンバーが集合して研修を受けるので、同期のような存在ができて、入社後に心細い思いをせずに済みました。同時期に入社したエンジニアはメーカーや半導体業界からニコンに転職した人が多く、時には雑談も兼ねて知見を共有してもらっています。

エンジニアとして、ニコンで働く魅力や醍醐味について教えてください。

自らの仕事がお客様の役に立っている実感が得られることです。前職では開発現場とお客様の距離が遠かったこともあり、製品がどのように利用されているかが想像しにくいこともありました。しかし現在は、お客様と密に連携し、課題に向き合いながら開発を行っているため、手応えがしっかりと感じられます。実際に、お客様の製造拠点が平地から高地になった際に、気圧変動が発生してもスムーズに活用できるかを現地でテストし、その場でお客様と仕様を練るなど、お客様に価値を提供できることを実感しながら働いています。

また、海外のお客様とのプロジェクトで感謝されたときには、自らの仕事がグローバルに認められているという実感が得られて、喜びもひとしおです。今半導体市場は世界的にも注目を集めている産業なので、そのなかで成果を出せていることは、技術者としての誇りにもつながっています。

さらに、ニコンの職場環境も魅力だと思います。みな柔らかい人柄で、意見交換がしやすい環境です。制度面も充実していて、週3日までリモートワークが認められているほか、コアタイムのないスーパーフレックスタイム勤務制度を導入していますので、子どもを保育園に迎えに行ったり、病院に連れて行ったりすることも気兼ねなくできます。また、オフィスが埼玉県熊谷市にあるため、通勤ラッシュに巻き込まれることなく快適に通勤できます。

なにより、社内に優秀なメンバーが多く、目標となる先輩や上司がいることが一番の魅力ですので、私自身、技術者としての専門性をさらに高めていきたいと考えています。充実した職場環境で技術者として成長したい方には、ニコンは理想的な環境だと思いますので、ぜひご応募ください。

※社員の所属やインタビュー内容は取材当時のものです

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