
Interview
技術開発から物流まで、
事業部横断でニコンを支える生産本部とは
光利用・精密技術で世界をリードする株式会社ニコン。その「ものづくり」を根幹から支えるのが生産本部です。同部門では現在、各事業部が必要とする唯一無二の装置開発などに取り組んでいます。ニコンにおける生産本部の位置づけやビジョン、また、生産本部で働く技術者だからこそ得られる価値について、生産本部長と技術統括部第一設備開発部長の2名にお話を伺いました。
出典:ビズリーチ掲載記事(2025年6月19日公開)より転載
#01
開発から製造まで、
複数の事業部を一手に支える生産本部
執行役員 生産本部長/東福 宏明

開発から製造まで、
複数の事業部を一手に支える生産本部
生産本部はニコンの根幹である「ものづくり」の中で、より「直接的なものづくり」に近い領域を担当しています。具体的には、部品や原材料を国内外から適正に確保する「調達」、効率的かつ高品質な生産を実現する「生産技術開発」、実際の「製造」、品質システムの構築や製品に対する規制に対応する「品質保証」、そして完成品をグローバルに届ける「物流」まで、生産の入口から出口まで一連のプロセスを幅広くカバーしています。さらに、将来を見据えた生産戦略、例えばどの拠点でどのような生産体制を構築するか、といった企画機能も担当しています。 ニコンではカメラなどの映像製品や半導体露光装置など製品群ごとに事業部制を導入しており、それぞれ特色のある開発や調達、生産機能を有しています。一方で、生産本部は各事業部と重複しない形で、全社共通の基盤を提供する「横串機能」としての役割を果たしています。特に、光学素材の開発・製造や高精度なレンズ加工、コーティングなどのコア技術や、市販されていない特殊な生産設備の開発・製作は、事業部門を支える不可欠な機能であり、ニコン全体の技術力を底上げしています。
2030年に向けたビジョン「人と機械が共創する社会の中心企業」を実現するための具体的な目標はありますか。
2030年に向けてDXやAIが一層進展する中で、ニコンが「中心企業」として価値を発揮するには、光学技術をはじめとするわれわれの強みを生かすことが不可欠です。生産本部の役割は、ニコンが生み出す先進技術を、まず社内の生産工程において高いレベルで具現化することだと考えています。例えば、ロボティクスのような新しい技術も、社外に提供するだけでなく、自社の工場で積極的に導入し自動化を推進します。 そして、現場での実践を通じて得られた知見や課題を開発部門に迅速にフィードバックし、より良い製品開発へとつなげます。この好循環を確立し、加速させることが重要だと考えています。また、ニコンにはBtoCからBtoBまで多様な事業があり、それぞれに培われてきたものづくりの方法を標準化し、全体最適を図ることも大きな目標です。 これらの目標を実現するうえで、科学的根拠に基づいたものづくりを重視しています。技術者は勘や経験のみに頼ることなく、論理的な裏付けのあるものづくりを通して社会への貢献を目指しています。
幅広い事業領域で多様な人材と関わりながら成長できる環境
生産本部で働くやりがいや、技術者にとっての魅力について教えてください。
生産本部の技術者は、特定の製品分野に限定されず、精密な露光装置のようなBtoB製品から、多くの方が手に取るカメラなどのBtoC製品まで、非常に幅広い領域の先進的なものづくりに関われるのが大きな魅力です。事業部ごとの違いを横断的に経験できるのは生産本部ならではの面白みだと感じています。 最終製品からは少し距離はあるものの、量産化の実現やコストダウンへの貢献など「縁の下の力持ち」的な役割を担い、ニコン全体の競争力向上に貢献できる点に大きなやりがいを感じられると思います。自身の技術や工夫が製造現場で具体的な形となり、品質向上やコスト削減といった成果として現れるのを直接見られるのも、技術者としての喜びです。
生産本部での仕事を通じて、どのような成長機会がありますか。
生産本部には、調達・品質・物流といった専門部隊が集約されており、部門間の垣根を越えた連携や情報交換が日常的に行われています。ご自身の専門性を生かしながら、さらにその領域を広げたい、あるいは深めたいと考えている技術者の方にとって生産本部は非常に魅力的な職場です。映像製品から先進的な半導体露光装置まで、多種多様な製品に関わる中で、自身の技術や工夫が製造現場で目に見える成果として現れる実感を得ることができます。
生産本部でのキャリアに関心のある方にメッセージをお願いします。
ニコンの社員は、企業理念である「信頼と創造」のもと、誠実かつ真面目に仕事に取り組む人が多いと感じています。事業部が異なれば求められるものも違い、異なるコンセプトでものづくりをしていますが、それぞれ自分の仕事に愛着と誇りを持って取り組んでいます。現場の技能を重視する文化も私自身感じており、多様な職種の人が誇りを持てる環境にあります。ものづくりに強い興味があり、製品そのものではなく、ものづくりの「プロセス」を追求し、そこに自身の価値を見いだしたいという方には最適な職場です。 職場環境としても、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが協力し合う、風通しの良い雰囲気があります。ぜひ私たちと一緒に、ニコンのものづくりを未来へと進化させていきましょう。

#02
ニコンの未来をつくる
「唯一無二」の生産設備開発
生産本部 技術統括部 第一設備開発部長/井上 良介

第一設備開発部の役割や具体的な業務内容について教えてください。
第一設備開発部の主なミッションは、ニコン製品を生み出すための「社内向け生産設備」の開発です。例えば、半導体露光装置や高性能なカメラレンズなどの製造・検査工程では、市場に流通している汎用的な設備では要求される精度や特殊な仕様を満たせないケースが多くあります。そのため私たちは「ニコンにとって唯一無二の装置や工具」をオーダーメードで開発しています。 単に「つくる」だけでなく、将来ニコンに必要となるであろう要素技術の先行開発も重要な業務です。時には、まだ世の中に存在しないような新しい原理や方式を考案し、実験を繰り返しながら形にしていく、非常にチャレンジングな仕事もあります。
第一設備開発部で働く魅力と、得られる経験や裁量についてお聞かせください。
一番の魅力は、やはり生産設備の仕様・構想といった最上流から、設計、製作、そして工場への導入、その後の改善まで一気通貫で関われる点です。事業部や生産現場から「こんな設備が欲しい」という要望が寄せられるところからスタートし、それを具体的な形にしていくプロセス全てに携わることができます。精度の高い内製装置を開発した際には「当社の製品は、高い技術力を持った自社開発の装置でつくった製品です」という売り文句でアピールできたと営業担当から声をもらったこともありました。 実務では担当者に大きな裁量が与えられ、どのような原理で、どのような構造で設備を実現するかを主体的に考えて提案し、実行していくことが求められます。もちろん、設計審査などのステップはありますが、基本的な進め方は担当者に委ねられています。 そのため、機械、電気、ソフトウエアといった幅広い技術知識はもちろん、プロジェクトマネジメント能力やコミュニケーション能力も自然と磨かれます。困難な課題を乗り越えるたびに、技術者として大きく成長できる実感があります。
水戸・熊谷から世界へ。
高精度技術と働きやすさが共存する拠点
主な勤務地である水戸と熊谷で働く魅力や生活環境について教えてください。
私たちの部は、茨城県の水戸製作所と埼玉県の熊谷製作所に拠点を置いています。まず熊谷は、史上最も精密な機械と称される半導体露光装置を開発・生産している拠点です。先進的な製品開発に携わる製品設計部門や製造部門と日々緊密に連携を取りながら、時にはミリ秒(1,000分の1秒)単位の動作制御やナノレベルの位置決め精度を追求するような、非常にチャレンジングな設備開発に没頭できる環境です。 一方水戸は、露光装置以外のカメラ・顕微鏡・計測機など、ニコンが持つ多様な事業部の生産設備を手掛けており、非常に幅広い製品と技術に触れることができます。部内の設備調達や組み立てを行う製造機能も水戸に集約されているため、設計したものが形になっていくプロセスを間近で見ながら、製作メンバーと直接相談して進められる利点があります。執務スペースも比較的ゆったりと確保されており、仕事に集中しやすい環境です。 生活面では、水戸は物価が比較的安く、多くの社員が車通勤で満員電車のストレスとは無縁です。熊谷も都心へのアクセスが良い割に物価は抑えられており、どちらの拠点も仕事と生活のバランスを取りやすい、働きやすい環境だと感じています。休日には釣りやゴルフなどのアウトドアな趣味を楽しんでいる社員も多くいます。
第一設備開発部が求める人物像と、入社後のサポートについて教えてください。
常に新しい技術や困難な課題に挑む部門のため、前向きな姿勢とチャレンジ精神のある方にぜひご応募いただきたいです。大規模な設備では10人以上のチームで取り組む場合もあり、社内外の多くの関係者と協力して円滑なコミュニケーションを取りながらチームワークを発揮できることも重要です。 入社後は、1年間コーチ役の社員を中心にニコンのやり方や必要な知識を丁寧に指導します。「技術カレッジ」という研修制度も用意されており、知識やスキルを学習できる環境も整っています。忙しいから教えられないという雰囲気は全くなく、むしろ新しい仲間を歓迎し、積極的に知識や経験を共有しようという文化が根付いています。 2020年にキャリア入社した技術者の例では、最初の2年間は大きな案件でベテラン設計者と共に業務にあたり、次の2年間は中規模の案件を一人で担当してもらいました。現在はプロジェクトリーダーとして案件に広く関わっています。ニコンのものづくりに興味を持っていただけた方は、ぜひ第一設備開発部でお力を発揮していただきたいです。

※社員の所属やインタビュー内容は取材当時のものです
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