これからのニコンデザイン

2022.9.20 | デザインワーク

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ニコンのデザインは、製品の色・かたちを描くだけではありません。
クリエイティビティにこだわりを持ちつつ、徹底的にお客様に寄り添い、潜在的ニーズや課題を解決していきます。製品・サービスの体験設計からブランド価値向上に至るまで、将来のあるべき姿を描きデザインしていく「未来起点」の思考で、活動領域を広げています。
新たな時代に求められる、新たな価値を創り出す。これからのニコンデザインについてご紹介します。

デザインの価値は、進化する

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さまざまな機械部品を金属や樹脂のカバーで覆うことで、人間に扱えるようにするところから始まった、ニコンのデザイン。機能の進化とともに、より扱いやすく、誰もが性能を引き出せるようにすることを目指して、さまざまなチャレンジを続けてきました。

そのニコンはいま、デザインの新たな可能性に挑んでいます。
使う人にとっての体験をより良いものにすること、ニコンという企業の価値をさらに高めること、イノベーションを起こし社会課題を解決すること。人とモノ、コトの関係をつくる「デザイン」には無限の可能性があり、もっといろいろなことができるはず。そう信じるからです。

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顧客体験のためのデザイン

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製品・サービスのUX(体験設計)、外観、UI(ユーザーインターフェース)、
グラフィックやムービーなどの各種のコンテンツデザインを通して、
お客様の体験品質向上を目指していきます。

どのようなモノであれコトであれ、それに触れた人が嬉しい、楽しいと感じたとき、初めて価値が生まれます。

どうすれば人の心を動かせるのでしょうか。
人の中にこそ、答えはあります。

そこにたどり着くには、尋ねるだけでは十分ではありません。だからこそ、深く掘り下げます。

モノを、コトを誰が求めているのか。なぜ求めているのか。その背景にあるものは何なのか。
心の奥深くへ分け入り、言葉にならない声を聞き出す。そのために、ありとあらゆる方法を試みます。

プロダクトならばボタンひとつ、表皮ひとつ、何通りものプロトタイプを製作します。ソフトウェアならばユーザーの使い勝手の良さを追求し続け、何度も、何度もアップデートを重ねます。
こうして、単なる「見た目」「使い心地」の奥にある、人が本当に求めるものへの理解を深めた先には、モノやコトの価値そのものが姿をあらわします。

ニコンのデザインは、人の心を強く揺り動かすものなのです。

ブランド構築の
ためのデザイン

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「2030年のありたい姿」の検討。
ニコンの存在意義や目指す将来像と道筋を描き、さまざまな発信を通してお客様を含めた
ステークホルダーとのエンゲージメントを高めていきます。

ニコンという会社の存在意義は、お客様から社員まで、関係するあらゆる人々がどう捉えているかによって明らかになるものだと言えます。

プロダクトとしての使いやすさ、信頼性、美しさ。そこから生み出されるさまざまな体験。これらをお客様に提供することで、ニコンは独自の価値を持ったブランドとして認知され、社会から求められてきました。

しかし、これからもずっとそうあり続けられると決まっているわけではありません。
時代は進みます。人々の価値観も移り変わります。
ニコンがこれからも必要とされ続けるためには、私たち自身が未来を描き、そこへ向けた道筋を社内外の多くの人に向けて示し、実現に向けて具体的に行動していく必要があります。

ニコンの存在意義、目指す将来像や道筋。そうした目に見えないものを示すためには、デザインの力が必要です。

それは、プロダクトかもしれません。グラフィックや映像である場合もあるでしょう。さらには、言葉だったり、音だったりする可能性もあります。手法にとらわれることなく、伝える相手のことを考え、あらゆる表現を用いて、ニコンという存在を描き出します。

ニコンのデザインは、自らのありたい姿を明らかにするものなのです。

イノベーションの
ためのデザイン

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お客様に内在している潜在的なニーズや
本質的な課題を見出し、ニコンの多様な技術を組み合わせて
新たな価値を創出していきます。

人々が、そして社会が抱えるさまざまな課題。これを解決するための新しいクリエイティブなアプローチが求められています。
ニコンには長年培ってきた光利用技術や精密技術があり、日の目を見るときを待っているものも多くあります。これらをイノベーションへと結びつけるのも、デザインの役割です。

これまで、技術が価値として実を結び、世の中に受け入れられるまでには多くの時間が必要でした。技術そのものの完成度をとことん追求し、時間をかけて製品を開発し、その上でようやく世の中に価値を問う。そんなプロセスが当たり前だったからです。

しかし、世界が変化するスピードは加速しています。社会課題も大規模になっています。これまで同様の方法を続けていれば、せっかくの技術を活かせないままになってしまう可能性もあります。
そうならないために、デザインの力を活用したいとニコンは考えています。

デザイン思考に基づくさまざまな手法を使って、お客様の心の奥深くにあるものを探る。カタチを与えることを何度も繰り返しながら、提供する価値を具体化する。そしてお客様の声を聞き、カタチに、価値に磨きをかけていく。

そんな姿勢こそがイノベーションにつながるのだと、私たちは信じています。

ニコンのデザインは、社会をよりよいものへと変えていくためのものなのです。

いまこそデザインの力を
人に、社会に

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デザインセンター長 橋本 信雄

ニコンはいま、デジタルカメラをはじめとしたBtoC製品のみならず、BtoB領域のビジネスにも注力しています。そして提供するものも、ハードウェア、ソフトウェア、サービスと多岐にわたっています。
その中で、何らかのかたちで接していただく人の体験をよりよいものにしたい。それが、私たちの不変のチャレンジであると考えています。
これまで長きにわたって取り組んできたカメラのデザインは、プロフェッショナルを含むさまざまな方の期待に応えることで、多くの支持をいただいてきました。このノウハウは、ものづくりや研究の現場に立つ方の仕事の効率を上げること、新たな発見を見出すことにもきっと貢献できるはずだと思っています。

同時に今、私たちはデザインを広義に捉え、提供価値領域を拡げるべくさまざまな表現活動を行っています。例えばニコンが将来目指す姿を言葉やビジュアルで表現し、さまざまなステークホルダーに共感していただけるような取り組みもそのひとつと言えるでしょう。私たちデザイナーは常に「誰に、どんな価値を届けるべきか」を考え続けています。その能力は、きっと幅広い場面で活用できると思うのです。

デザインにできることは、他にもあります。たとえば、要素技術やビジネスアイデアをどう伝えるか、どのように活用できるかを技術者やマーケッターと一緒に考え、さまざまな視覚化やプロトタイピングを行って検討を加速させること。これもデザインの役割だと強く信じています。

ニコンが提供してきた製品やサービスは、世界中のお客様からご支持をいただいています。使う人の言葉にならない声に耳を傾け、心の奥底にある課題を解決することで喜んでいただくというデザイン思考を活用すれば、さらにその価値を高めることが可能になるはずです。そしてその価値がお客様の創造力を解き放ち、最終的には社会課題の解決にまでつながるのではないかと考えます。 私たちの挑戦はまだ始まったばかりですが、デザインを広義に捉えた新しい取り組みには確かな手応えを感じています。これからのニコンデザインに、どうぞご期待ください。

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