環境

気候変動等は経営に対するリスクである一方で、コア技術を活かし脱炭素化や資源循環に貢献していく事業機会でもあると考えています。

気候変動の影響がより顕著になり、それに伴う社会や経済の損失や損害が深刻さを増しています。世界全体の気候変動対策を評価する「グローバル・ストックテイク」の成果文書では、1.5℃目標達成のために緊急に行動をとる必要があることが改めて確認され、すべての温室効果ガスおよび産業・運輸・家庭などのすべてのセクターを対象とした排出削減、分野別の貢献が盛り込まれました。
同時に、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の線形経済から、資源を循環させる「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への移行が求められています。また、製品に含まれる化学物質においては、法規制対象となる物質および適用地域が着実に拡大しています。
さらに、2030年までに生物多様性の損失を止め、自然を回復の軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の実現をめざし、企業にはTNFD*のフレームワークに基づく情報開示や自然関連リスク・機会の評価、そして取り組みのさらなる強化が求められています。
ニコングループでは、ニコン環境長期ビジョンにおいて「脱炭素社会の実現」「資源循環型社会の構築」「健康で安全な社会の実現」を掲げ、環境配慮と事業成長を両立したサステナブルな社会の構築に貢献しています。

  • *TNFD:Taskforce on Nature-related Financial Disclosures の略。「自然関連財務情報開示タスクフォース」と訳され、企業・団体が自身の経済活動による自然環境や生物多様性への影響を評価し、情報開示する枠組みの構築をめざしている。

環境戦略

ニコングループは、持続可能な社会への貢献と自社の持続的成長をめざす「サステナビリティ方針」を策定し、環境に関する具体的な方針としてこれまでは「ニコン環境活動方針」を掲げてきました。2025年2月、環境問題の深刻化や企業の取り組みに対する社会からの期待の高まりを受け、「ニコン環境活動方針」を「ニコン環境方針」に改定し、活動の指針をより明確化しました。
これらの方針のもと、環境リスクや規制に積極的に対応していくため、2050年度を見据えた「ニコン環境長期ビジョン」を策定しています。このビジョンでは、世界の状況や、限りある資源を使用して製品を製造・販売しているというニコンの事業の性質から、特に重要と考えられる3つを柱として設定しています。これらの柱は、マテリアリティ(重点課題)および2030年度をターゲット年とした「ニコン環境中期目標」と連動しています。単年目標としては「環境アクションプラン」を定め、グループ全体へと展開しています。事業活動における環境との関わりを明確にし、環境負荷や環境リスクの大きさを的確に把握することで、目標や計画には優先順位を付けています。
また実績については、自己評価を環境部会にて審議・承認するとともに、抽出した課題をもとに、次年度以降の活動を見直しています。
2024年度は、「ニコン環境中期目標」における製品の資源循環に関する目標について、目標達成に向けて確実に進捗管理できるように内容の明確化を行いました。

ニコン環境長期ビジョン(ターゲット時期:2050年度)

ニコングループは、「脱炭素社会の実現」「資源循環型社会の実現」「健康で安全な社会の実現」をニコン環境長期ビジョンとして位置付け、サステナブルな社会の構築に貢献していきます。
環境負荷低減につながる新規事業の創出やイノベーションに取り組んでいきます。

サステナブルな社会/脱炭素社会の実現:ネットゼロ*達成/健康で安全な社会の実現/資源循環型社会の実現
  • *バリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)を90%削減し、残余排出量は国際的に認められる手段によって中和する。
ニコンの環境目標関係図
ニコン環境長期ビジョン(ターゲット年:2050年度)/脱炭素社会の実現/資源循環型社会の実現/健康で安全な社会の実現/→ニコン環境中期目標(ターゲット年:2030年度)/→環境アクションプラン(単年目標)/→部署目標と具体的な活動へ

マテリアリティ

ピックアップ

調達パートナーへの
温室効果ガス削減推進

ニコングループでは、主要な調達パートナーに対し、温室効果ガス排出量の算定と削減を働きかけています。
2024年度は、主要な調達パートナー100社に対して情報開示の依頼を行ったところ、90社が温室効果ガス排出量など気候変動関連の情報開示を行いました。この要請にあたり、対象となる調達パートナーに対して全部で3回説明会を実施し、必要に応じて個別に温室効果ガス排出量の算定についての指導や質疑応答の機会を設けました。
2025年度は、対象の調達パートナーを150社に拡大して、調達パートナーのScope1、2、3の把握を進めていきます。

容器包装におけるプラスチック削減

従来の包装/フィルム固定包装

近年、プラスチックゴミによる海洋汚染が世界的な問題になっています。これに対応するため、ニコングループでは、使い捨てプラスチックゴミの削減として、容器包装ならびに生産拠点において使い捨てプラスチックゴミの使用量削減や紙系材料への変更などに取り組んでいます。
映像製品は包装材を紙化する取り組みを行っています。2025年4月発売の望遠レンズ「NIKKOR Z 28-135mm f/4 PZ」において、発泡プラスチック緩衝材の紙化が実現しました。さらに、一部アクセサリーについては個装箱のプラスチック窓を廃止しています。
ヘルスケア製品においては、梱包方法を変更し、発泡プラスチックによる緩衝材から、透明フィルムで製品を覆う固定包装を導入することで従来の包装形態からプラスチック使用量を約97%削減しました。

2024年度の主な活動の実績

Scope1およびScope2における 温室効果ガス排出量(2022年度比)

CO2 56.0%削減

操業に係わる廃棄物総排出量(2018年度比)

16%以上削減

露光装置の中古品再生販売数

累計474台

関連するハイライト