CEOメッセージ

2026年8月

「光の可能性に挑み、未来を変える」~人と機械が共創する社会の中心企業を目指して~ 代表取締役 兼 社長執行役員 CEO 大村泰弘

新たな中期経営計画の策定

ニコンはこれまで、「信頼と創造」という企業理念のもと、研究開発型企業として顧客や社会、文化の発展に貢献してきました。さらなる社会価値と経済価値の創出に向けて、今般、2035年までの経営環境の変化や事業戦略を踏まえ、バックキャストで目標を設定し、2026年度から2030年度までの5年間を対象とした中期経営計画を策定しました。前中期経営計画で描いた長期潮流、「人と機械が共創する社会」、人々の価値観・人生観の変化、気候変動や資源不足といった社会課題への取り組み、AIとの共創を含むテクノロジーシフトは一層進み、当社の活躍機会はさらに拡がっており、事業ポートフォリオを再定義の上、その具現化を目指します。

前中期経営計画の総括

前中期経営計画を振り返りますと、新たな収益の柱を育てるべく、全方位的に新事業開発に取り組みました。売上の拡大や事業戦略の進展、経営基盤の整備などに一定の成果も見られましたが、収益構造の改善には至らず、結果として経営数値目標は大幅未達に終わりました。
映像事業は比較的堅調に推移しましたが、精機事業をはじめとするその他事業は顧客の需要が急減するなど当初想定を大きく下回りました。加えて、デジタルマニュファクチャリング事業は大規模な経営資源の投入を通じた急速な規模の拡大を図り、意図した通りに進展した部分もありましたが、規模拡大という点は十分ではなく、計画未達となりました。
ただし様々な取り組みを通して、当社グループが取るべき戦略や進むべき方向性は、前中期経営計画を策定した2022年と比べて明確になっており、経営資源の選択と集中を進め、提供価値を磨き、確実に成果へ結びつけていきます。

画像

新たな中期経営計画の全体像

今回の中期経営計画では、「全方位で新事業を育てる経営」で得られた知見を踏まえ、「我々の強みをしっかりと分析した上で、選んだ事業を大きく伸ばす経営」へと明確に舵を切ります。
計画策定にあたり、まず、ニコンのミッション、ビジョン、バリューズを再定義しました。ミッション「光の可能性に挑み、未来を変える(Unlock the future with the power of light)」のもと、新たに定めたバリューズ「お客さまのニーズ、実現したいものに挑み続ける」「コスト、スピードに挑み続ける」「製品の精度や強靭性に挑み続ける」により、ビジョンである「人と機械が共創する社会の中心企業」の実現を目指します。
今回の計画において最も重視していることは、「財務規律を重視しながら、企業価値向上につながる注力分野に経営資源を投入する」という運営方針です。
前中期経営計画では、限られたリソースを多くの取り組みに分散した結果、強みを磨き切れず、収益の安定化・拡大には至りませんでした。この学びを踏まえ、今回は拡大すべき事業や取り組みと、見直し・整理するべき対象を明確にし、経営資源を集中していきます。
2030年度の数値目標は、売上収益1兆円、営業利益800億円、全社ROIC 7%、ROE 10%です。これまで目標に掲げていた売上収益、営業利益率、ROEに加え、投下資本を真のアウトプット、すなわち利益成長につなげることを経営・現場の双方で追求していくため、ROICを最上位目標に引き上げます。
事業ポートフォリオについては、「映像」「ヘルスケア」「インダストリー」を安定利益創出事業、「デジタルマニュファクチャリング」「精機」を企業価値最大化への挑戦事業と明確に位置付けます。安定利益創出事業が生み出すキャッシュを挑戦事業へ投じることで、短期業績回復と長期成長の両立を図ります。
精機事業は企業価値向上の中核と位置付け、デジタルマニュファクチャリング事業については、2026年度にNikon SLM Solutions AG単体での黒字化、2027年度に事業全体での黒字化を必達目標として取り組みます。目標の達成に向けた具体的な施策実行と進捗管理を強化していきます。

画像

持続的成長を支える経営基盤

中期経営計画を実行し、目標を達成するには、経営基盤の強化が不可欠であり、引き続き、重点テーマとして注力します。人的資本経営においては、多様な人材の育成と活躍機会の拡充を通じ、組織力の向上を図ります。ものづくりの分野では、需要変動等に対応可能な柔軟な生産体制の構築と生産性向上に取り組みます。また、顧客および従業員重視のDXを推進し、データおよびAIをはじめとしたデジタル技術の活用による業務効率化、価値創出の高度化を進めます。経営管理面では、ガバナンスおよびリスクマネジメントの強化を通じ、グローバル経営の実効性向上に努めます。さらに、サステナビリティに関する取り組みを重要課題として位置付け、事業活動と一体的に推進することで、社会からの信頼の確保と中長期的な企業価値の向上を目指します。

光の可能性に挑み、未来を変える

ニコンは100年以上にわたり、光の可能性を追求し、人生を豊かにすること、人間の可能性を拡げることに挑み続けてきました。これからも、「フィジカル空間とサイバー空間を”光で繋ぐ”」という独自の強みをいかし、顧客とともに長期的視点で社会課題の解決に取り組んでいきます。
映像事業は「光とともに心を豊かに」、ヘルスケア事業は「光の力で生命の未来を照らす」、インダストリー事業は「光で繋げるソリューション」、デジタルマニュファクチャリング事業は「光を操りものづくりを革新」、精機事業は「光×精密を極めデジタル社会を支える」─それぞれの事業領域において、光利用技術を中心としたソリューションを提供していくことで、事業の拡大と収益性改善を実現し、グループ全体の持続的な成長へとつなげていきます。今後も、ステークホルダーの皆様のご期待に添えるように、全社一丸となって取り組みを進めてまいりますので、引き続きのご理解とご支援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

画像