CFOメッセージ

2026年8月

財務規律と資本効率を重視し、安定利益創出と注力分野への重点資源配分による企業価値向上を目指します 執行役員 CFO、財務・経理本部長 松本武史

2025年度の振り返り

前中期経営計画の最終年度にあたる2025年度の業績は、売上収益6,771億円(前年比381億円減)、営業損失1,124億円(前年度営業利益24億円)、親会社の所有者に帰属する当期損失860億円(前年度当期利益61億円)と減収減益、ROEは▲14.1%となりました。
売上収益は、主として精機事業における販売減少により減収となりました。営業利益は、将来計画の見直しに伴い、主にデジタルマニュファクチャリング事業および精機事業において固定資産の減損損失が発生するなど、全社で1,056億円の一時損益を計上したことに加えて、映像事業における製品ミックスの変化もあり、大幅な減益かつ赤字決算となりました。これに伴い、年間配当金は1株当たり40円となり、前年比で減配となりました。

2026年度の見通し(2026年5月公表内容)

新中期経営計画の初年度となる2026年度の業績予想は、売上収益7,400億円、営業利益100億円(営業利益率1.4%)、親会社の所有者に帰属する当期利益100億円としています。
売上収益は、半導体装置事業やEUV関連コンポーネントなどの半導体関連ビジネスの拡大に加え、ヘルスケア事業における米国アカデミア分野を中心とした市況回復、デジタルマニュファクチャリング事業における販売拡大により、増収を見込んでいます。営業利益は、前年度に計上した一時損益の剥落に加え、半導体関連ビジネスの増収効果やデジタルマニュファクチャリング事業における構造改革の効果発現を見込んでいます。さらに、研究開発費の最適化や経費抑制などの自助努力にも取り組み、前年比1,224億円増の大幅な利益改善を計画しています。なお、ROEは1.7%となる見通しです。
外部環境の変化による部材・部品価格の高騰など、当社を取り巻く事業環境は不透明さを増していますが、収益性改善による短期業績回復が喫緊の課題であると強く認識しています。固定費の削減やバランスシートの効率化を進め、着実な業績回復に向けて全社を挙げて取り組みます。

新中期経営計画での注力課題

2030年に向けた新たな中期経営計画では、前中期経営計画で得た学びを踏まえ、財務規律を重視しつつ、企業価値向上につながる注力分野へ経営資源を重点的に配分していきます。具体的には、精機事業の半導体露光装置およびデジタル露光装置、デジタルマニュファクチャリング事業の大型金属3Dプリンター、映像事業のデジタルシネマカメラを注力3分野と位置付けました。「稼ぐ事業」として位置付けた映像事業、ヘルスケア事業、インダストリー事業で安定的に創出するキャッシュを、注力3分野へ投入していく方針です。
これらの事業における資本収益性と財務規律を適切に管理するため、新たにROIC(投下資本利益率)をKPIに取り入れ、継続的にモニタリングしていきます。事業ROIC平均15%以上、全社ROIC7%を2030年度に向けての目標とし、これらの取り組みを通じてROE10%の達成を目指します。事業別ROICについては、一律の基準を各事業へ適用するのではなく、ビジネスサイクルや事業特性に応じた目標を設定し、部門評価や役員報酬とも連動させることで、経営管理の実効性を高めていきます。
あわせて、キャッシュ・フロー管理も一段と強化していきます。これまでも事業別の管理強化やキャッシュ・フローの重要性について意識醸成を進めてきましたが、新たな中期経営計画では、各事業で収益性の向上を図るとともに、子会社を含めた運転資本圧縮や生産効率の改善、投資の厳選などを通じてキャッシュ・フローの安定化を図ります。

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  • デジタルマニュファクチャリング事業

中長期の収益性向上を実現するための資本配分と株主還元

新中期経営計画で掲げたビジョン、成長戦略、財務目標の実現に向けた資本配分については、配分可能原資の9割を成長投資に充当し、そのうち5割超を注力3分野を擁する事業に集中させることで、中長期的な収益基盤の強化を図ります。
戦略投資については、大型M&Aは一区切りとし、将来技術の獲得につながる小規模投資を中心に進めていきます。一方、研究開発投資は中長期的な利益成長が期待できる分野に重点配分し、設備投資は生産拠点整備や基幹IT投資を中心に厳選して実施していきます。
あわせて、財務健全性と資本効率を意識し、ROICを軸とした規律の強化を図ることで自己資本比率50%以上を堅持していきます。
株主還元については、総還元性向40%以上を目標とし、持続的な成長の実現に向け、事業投資と株主還元のバランスを重視した資本政策を推進します。2026年度の年間配当金は1株当たり20円を予定していますが、新中期経営計画では、配分可能原資の10%程度を株主還元に充てる計画としており、中長期的な収益向上の実現により、株主の皆様への利益還元のさらなる充実を図っていきます。

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当社は現在ネットデット、すなわち有利子負債が現金等を上回る財政状態にあり、新中期経営計画の推進にあたっては、財務規律の徹底が何より重要な課題であると認識しています。当社のビジョン「人と機械が共創する社会の中心企業」を目指すうえで、財務面から持続的成長を主導し、企業価値向上につなげることがCFOの使命であると考えています。できるだけ早期に業績回復を果たすことでその後の成長投資余力を捻出し、「選んだ事業を大きく伸ばす」局面においても、資本効率を意識し、バランスシートの健全性を維持しつつ、事業から生み出されるキャッシュ・フローの安定化を図ることで、当社のビジョンの実現につなげていきます。今後は、強固な財務管理体制の構築・運営に加え、従業員一人ひとりの意識改革も着実に進めていきます。こうした財務規律の徹底と企業価値向上への取り組みを通じて、株主還元のさらなる充実にも努めていきます。
今後とも当社を取り巻くすべてのステークホルダーの皆様のご理解、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。