キッズデザインワークショップ

2019.9.30| デザインワーク

子どもたちとデザインの出会いを作る

毎年夏に開催されるTOKYO MIDTOWN KIDS WEEK。私たちニコンのデザインセンターは、そこで毎回「キッズデザインワークショップ」と題し、体験型の工作教室を実施しています。

子どもたちの将来のために
ニコンができること

今年で11年目を迎えるこのワークショップは、レンズの不思議な力を楽しく体感してもらうと同時に、子どもたちがデザインと出会うことのできる場を作ることを目的としています。デザインは問題解決の手法としても年々注目を高めており、子どもたちの教育の場においても重要なキーワードとなりつつあります。ニコンの社会貢献のひとつとして、私たちデザイナーのノウハウを子どもたちの将来のために活かすという意味で、このワークショップは重要な役割を担っていると感じています。
内容はデザイナーが日々仕事で行なっているデザインプロセスに基づいてプログラムされていて、光学を研究し続ける企業だからこそ紹介できる知識も詰まっています。また、十分にモノづくりの充実感を体感してもらうことができるように工作キットを自作し、ニコンのレンズを用いるなど、私たちの持つさまざまな資産を活かした内容設計をしています。

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同時に、このワークショップは私たち自身が得るものも多くあります。私たちが仕事を行なう上で当たり前に行なっているデザインのプロセスを、子どもたちに分かりやすく説明しなければなりません。これを行なうことで、改めて私たちはデザインに向き合うことになります。私たちの仕事の本質を、逆に子どもたちに教えてもらっていると言っても過言ではありません。
また、ワークショップの運営には積極的に若手デザイナーを参画させ、彼らの自主性を育くむ場、チームビルディングを実践する場ともしています。

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会場には、双眼鏡や顕微鏡、カメラなどニコンの製品を用意し、子どもたちや保護者の方々に触れて楽しんでいただいています。プロのような真剣な目つきでカメラを構えてくれる子など、子どもたちは大喜び。保護者の方々にも、子どもたちの姿を撮影するなどして楽しんでいただきました。

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今日は1日、カメラのデザイナー

子どもたちには実際にカメラを1台組み立ててもらいます。カメラといっても、作るのは「カメラオブスキュラ」と呼ばれる、カメラの原型。レンズを通った光が、天面のスクリーンに映し出されるという単純なものです。これを2枚のレンズとクラフトペーパー、スクリーンとなるトレーシングペーパーで作っていきます。

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クラフトペーパーで筐体を作り、レンズをはめたら、実際に機能するかのテストへ。スクリーンに目の前の景色が映ったら成功です。まずは「カメラオブスキュラ」の不思議さを体験してもらいました。
そしてここからはワークショップ最大のポイント“デザイン”のパートへと進みます。カメラに装飾を施してもらうにあたり子どもたちには「そのカメラを使うのが誰か」を考えてもらうためにスケッチの時間を設けています。「使う人はどんなときにそれを使うのか」、「どうやって使うのか」、「何が好きなのか」など、使う人の気持ちや所作を考えて、その人にとって必要なカメラとなるように作り込んでもらいます。使う人と、モノの関係を突き詰めていくこと。それこそが、私たちデザイナーにとってとても重要な作業なのです。
使う人のことを考えることは、子どもたちにとって決して簡単なことではありません。しかしどの子も悩みながらも懸命に取り組んでくれました。家族や友達、絵描きやスケート選手など、柔軟な発想でさまざまな人に向けてデザインができました。

最初は少し緊張気味。
みんな説明を真剣に聞いてくれました。

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難しいところもあるけれど、
奮闘しながら組み立ててくれました。

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電気も機械仕掛けもないのに、
スクリーンに映像が映ることにみんな驚きの様子。

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スケッチは、みんな入念に描きこんでくれました。
手が動き出したらもう止まりません。

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カメラの持ち方、置き方まで新しく生み出してくれる子も。
思いもよらない発想に、スタッフも驚かされました。

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子どもたちの豊かな個性が現れた名作が、
今年もたくさん生まれました。

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最後には、自分が作ったカメラをみんなの前で発表してもらいます。誰を想って作ったのか、どこにこだわって作ったのか、お気に入りのポイントはどこなのか。保護者の方々、一緒に頑張った仲間が見守るなか、子どもたちは照れたり緊張したりしながらも、一所懸命に自分が作ったカメラを紹介してくれました。

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子どもたちの懸命な姿勢に応えるため、ワークショップの細かいところにもニコンの“本気”を込めています。たとえば、子どもたちが作る「カメラオブスキュラ」のキットは、ニコンの光学設計者の監修のもと設計を行なっています。また、カメラを操作しやすいように、手にふれる部分には凹凸をつけたクラフトペーパーを使用したり、良いものを提供したいというニコンのこだわりを随所にちりばめています。
子どもたちからも、毎回驚くようなアイデアをもらっていて、そのアイデアを翌年のワークショップに反映させるなど、企画内容を常にアップデートさせ、子どもたちにより良い思い出を持ち帰ってもらおうとしています。

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子どもたちの喜ぶ姿に力をもらう

以下、ワークショップ終了後のアンケート抜粋です。
「難しかったけどすごく楽しかった!」
「いいカメラをデザインすることができた!」
「お母さんも喜んでくれた!」
今年も子どもたちが喜びの声をたくさん聞かせてくれました。彼らの喜ぶ姿、真剣に取り組む姿を目にすると、それだけでこのワークショップを毎年開催していることに意義を感じます。

また、保護者の方々からも嬉しい感想をいただきました。
「自分で考え、発表までする。子どものためになる良い内容でした。」
「使う人のことまで考えて物を作る貴重な体験をできた。」
「家では見せない真剣な表情を見ることができた。」
「カメラに興味を持ち始めた娘が、ものの仕組みを知るいい機会になった。」
「サイエンスとデザインを同時に体験できる場は初めてだった。」
私たちの想いが実り、今年も参加してくれた子どもたち、保護者の方々に満足していただくことができたようです。

今後は、このワークショップがもっと楽しく充実したものになるように、内容により磨きをかけていこうと考えています。そして、より多くの子どもたちの未来に寄与するためにも、このワークショップをさまざまな場所で開催し、活動を広げていきたいと、スタッフ一同想いを膨らませています。

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運営スタッフの声

子どもたちは分からないことばかりのなか、夢中でスケッチをしたり、手を止めることなく飾りつけをしてくれたりしました。その姿にピュアなクリエイティビティを感じ、驚かされました。彼らのクリエイティビティを大切にし、可能性を広げていく手伝いを続けていければと思います。
(プロジェクトリーダー/デザインセンター)

子どもたちがアイデアをどんどん形にする。そのサポートは大変に難しいことでしたが、同時に大きなやりがいと喜びをもらいました。今回のように自社の強みを活かし、次世代への技術教育に寄与できる機会を、数多く持っていきたいと考えています。
(CSR部)

デザインの考え方は、子どもたちにとってはまだまだ難しいものです。今回参加してくれた子どもたちに少しでもデザインのエッセンスが伝わっていたら、そして彼らの将来に少しでも役立つことができていたなら嬉しいです。
(デザインセンター)