CFOメッセージ

2023年8月

成長投資と株主還元の双方を推進していきます。取締役 兼 専務執行役員 德成旨亮

2022年度の振り返り

中期経営計画初年度にあたる2022年度の業績は、売上収益6,281億円(前年比885億円増)、営業利益549億円(同50億円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益449億円(同23億円増)と、増収増益となり、ROEは2年連続7%台半ばとなりました。
事業セグメント別では、主要2事業のうち、映像事業が10%台後半の営業利益率を上げる安定収益源となりました。また、精機事業では、半導体装置事業における主力製品であるArF露光装置の顧客多様化が進み、収益は安定化してきています。
戦略3事業においては、コンポーネント事業がEUV関連コンポーンネントを中心に伸長し、30%に近い営業利益率を上げました。ヘルスケア事業でも、中期経営計画目標の営業利益100億円を3年前倒しで達成するなど成果が出ています。さらに、デジタルマニュファクチャリング事業では、金属3Dプリンターで世界有数の専業企業であるSLM Solutions Group AG(現 Nikon SLM Solutions AG、以下「SLM社」)を買収しました。この事業は、当面の間営業赤字を見込みますが、将来の収益の柱として育成していく方針です。
このように、2022年度は中期経営計画初年度として順調な滑り出しであったと考えています。

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2023年度見通し(2023年5月公表内容)

2023年度通期の売上収益は6,650億円、営業利益は430億円、当期利益は350億円と、増収減益を見込みます。
増収は、主要事業が堅調であることに加え、SLM社の売上が年間を通して寄与することによるものです。
一方、減益となるのは、精機事業でFPD装置事業の大幅減益が確実であること、および新設のデジタルマニュファクチャリング事業が営業赤字からのスタートになることが主な要因です。FPDのビジネスサイクルの関係から2023年度が収益の底になることは中期経営計画策定時から想定していたことであり、2024年度にはFPD装置事業が復調し全社の業績も回復するものと考えています。

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資本配分―成長投資と株主還元

ニコンは、主に成長のために資本を用いる方針です。具体的には、自己資本比率50%台後半を維持した上で、配分可能原資7,000億円から8,000億円の約90%を、戦略投資、R&D、設備投資に配分します。
以下の図表で、黄色でお示しした部分は2022年度の配分実績です。例えば、右上の戦略投資では、SLM社の買収に約880億円を配分しました。

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同時に、株主還元も充実させます。配当は中期経営計画最終年度の60円配当に向け、配当金を増加させていく方針であり、2022年度の期末配当を5円増配し、2023年度はその配当水準を維持し年間50円配当とする予定です。
また、今後、中期経営計画期間中に300億円以上の自己株式取得を機動的に実施する方針です。

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企業価値向上とリンクした役員報酬およびサステナビリティ戦略

ニコンの役員報酬制度は、企業価値との連動性を意識して設計されており、役員報酬の半分以上は業績に連動します。具体的には、役員賞与はROEや営業利益に連動し、株式報酬PSUはサステナビリティ戦略関連KPIなどに連動する仕組みとなっています。
サステナビリティ戦略において、ニコンは、「コア技術による社会価値創造」をその中心に据え、本業を通じて持続可能な社会や環境の実現に貢献したいと考えています。また、温室効果ガス削減やダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンにも積極的に取り組んでおり、外部評価機関からも高い評価を受けています。

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このように、中期経営計画をしっかりと実践し、非財務価値の向上を財務価値の拡大に結び付けるとともに、成長投資と株主還元の双方を推進することで、市場からご評価いただけるよう努めていきます。