共焦点レーザー顕微鏡システム「AXシリーズ」を拡張、高解像で深部観察ができる超解像ユニット「NSPARC」を発売

創薬開発に加え、脳神経系や免疫系などの病気のメカニズム解明に貢献

2022年11月29日PRESS RELEASE/報道資料

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超解像ユニット「NSPARC」
(共焦点レーザー顕微鏡システム「AX」、研究用倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti2-E」に装着)

株式会社ニコン(社長:馬立 稔和、東京都港区)の子会社、株式会社ニコンソリューションズ(社長:園田 晴久、東京都品川区)は、細胞や組織を生きたまま、高解像で深部まで観察可能な、超解像ユニット「NSPARC(エヌスパーク)」を2023年2月上旬に発売します。本製品は、共焦点レーザー顕微鏡システム「AX」「AX R」(2021年発売)と組み合わせて使用します※1
ニコンは、今回発売する「NSPARC」や、「AX」「AX R」などの製品で構成される「AXシリーズ」において、生命現象の研究をサポートする製品を今後も追加し、製品ラインアップを広げることで、お客さまのニーズに柔軟に応えていきます。
なお、ニコンソリューションズは、生物学に関連する研究者や企業が一堂に会する「日本分子生物学会年会」(2022年11月30日~12月2日、於:千葉)に出展し、本製品を紹介します。

  • ※1対応顕微鏡:研究用倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti2-E」、研究用電動正立顕微鏡「ECLIPSE Ni-E」

発売概要

商品名 超解像ユニット「NSPARC」
発売時期 2023年2月上旬

開発の背景

近年、創薬開発をはじめ脳科学や免疫学などの研究分野では、生細胞や生体組織、臓器チップ※2などを顕微鏡で観察し、その微細構造や瞬時の反応、変化を解析するニーズが高まっています。

このようなニーズに対し、ニコンは一般的な光学顕微鏡の解像度の限界を超える超解像顕微鏡を2010年から提供し、高分解能観察が必要とされるさまざまな研究に貢献してきました。さらに、レーザー光源で標本をスキャンし、鮮明かつ広視野な三次元画像を取得できる共焦点レーザー顕微鏡システム「AX」「AX R」を昨年発売しました。

今回、ニコンは、「AX」「AX R」と組み合わせることで、従来の超解像顕微鏡「N-SIM-S」と比較して3倍以上※3の深部観察ができ、コントラストの高い三次元画像の取得が可能な超解像ユニット「NSPARC」を開発しました。また、画像統合ソフトウエア「NIS-Elements C」とあわせて用いることで、顕微鏡画像の取得や解析、データ管理を一元化することが可能になります。
本製品を活用することで、新薬候補化合物の作用機序※4や、脳神経やがんなどの病気のメカニズム解明に貢献し、研究の可能性をさらに広げます。

  • ※2臓器由来の細胞をチップ上の微細な流路の中で培養し、生体内の臓器を模倣したもの。高精度かつ効率的に新薬候補化合物の有効性や安全性を評価することができる
  • ※3従来製品の超解像顕微鏡「N-SIM-S」では、深さ方向に30μmまでに対し、共焦点レーザー顕微鏡システム「AX」「AX R」と超解像ユニット「NSPARC」を組み合わせた場合は100μm以上の深部観察が可能
  • ※4薬剤が効果を発揮するためのメカニズムのこと

主な特長

1. 従来比3倍以上の深部観察を実現

従来製品の超解像顕微鏡「N-SIM-S」と比較して、3倍以上の深部観察を実現しました。脳神経やオルガノイド、臓器チップなどの厚みのある標本の形態解析を高解像かつ高精度で行うことが可能です。

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「AX R」と「NSPARC」を組み合わせて画像取得した、透明化処理したマウスのニューロンの深部画像
画像ご協力:Lin Daniel, PhD. SunJin Lab Co.

2. コントラストの高い三次元画像を取得

受光部に「シングルピクセルフォトンカウンター」と呼ばれる素子を25個配列して感度を1.3倍向上させ※5、スキャンポイントごとの豊富な情報を基に画像処理を施します。これにより、ノイズが発生しやすい深部であっても、コントラストの高い三次元画像を取得でき、標本の微細な構造を観察できます。

  • ※5共焦点レーザー顕微鏡システム「AX」「AX R」と比較
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「AX R」で画像取得(左)
「AX R」と「NSPARC」を組み合わせて画像取得(右)
透明化処理したマウスのニューロンの深部画像
画像ご協力:Lin Daniel, PhD. SunJin Lab Co.

3. 細胞へのダメージを抑え、高解像で安定したライブセルアッセイが可能

受光部の感度が高い「NSPARC」と、高速に画像取得するレゾナントスキャナーを搭載する「AX R」を組み合わせることで、高速スキャン中も標本の詳細な情報をとらえ、高解像な画像を取得できます。細胞へのレーザー照射時間を減らしてダメージを抑え、低褪色で低光毒、高解像で安定したライブセルアッセイが可能です。

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「AX R」と「NSPARC」を組み合わせて画像取得した、ミトコンドリアの動態の生細胞タイムラプス画像
広視野タイムラプス画像(左)の1領域を拡大し、10フレームごとの高速タイムラプスを表示(右)

こちらに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。販売が既に終了している製品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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