トップメッセージ

光で未来を拓く
社会に必要とされ続ける企業をめざして
ニコンの企業理念とありたい姿
ニコンは、企業理念である「信頼と創造」のもと、2030年のありたい姿として「人と機械が共創する社会の中心企業」を掲げ、事業運営を行っています。
Industry
5.0への転換期において私たちが果たすべき役割は、人間と機械が共存する社会で新しい価値を創造することです。大きな社会の転換点にあって「ニコンがあって良かった」と言われる企業となることをめざし、気候変動や少子高齢化などさまざまな環境課題・社会課題の解決に寄与する製品やサービスを「創造」しながら、社会や環境に配慮した経営を通じてステークホルダーからの「信頼」に応えていきたいと考えています。
2024年度のサステナビリティへの取り組み
2024年度は、経済の不安定さや国際情勢の変化の影響もあり財務的な業績は計画を下回りましたが、こうした中にあっても、ニコンはサステナビリティ活動を着実に進めました。
まず、社会の期待に「信頼」で応えるための取り組みとして、リスクマネジメントとコンプライアンスの強化に注力しました。特に、子会社を含むグループ・ガバナンスや出資・買収先を含むグローバル・コンプライアンスを強化するため、組織体制の見直しやキャリア採用を含む専門人材の増強を図りました。
人権問題についても、影響評価などをもとに活動を全面的に見直し、2025年度以降は人権デュー・ディリジェンスをさらに強化していく予定です。
同時に、2024年度は「創造」を通じて社会に貢献するための具体的な製品・サービスの提供もいくつか実現しました。
ニコンは、多くの国・地域において重要な社会課題となっている少子化を背景にニーズの高まりが見られる不妊治療において、顕微授精を司る胚培養士の作業負担を大幅に軽減するための新型顕微鏡を開発し、発売を開始しました。
また、流体との接触面にリブレット(サメ肌)加工を施し、摩擦抵抗を軽減しエネルギー効率を向上させるニコン独自の光加工技術は、航空機で実証中ですが、2024年度には風力発電の風車のブレードに適用し発電効率を高める実証研究に着手しました。
さらに、自動車業界をはじめとする生産現場において多品種変量生産のニーズが高まり、生産・品質管理が複雑化する中、人手不足は深刻な社会課題となっています。ニコンは、ロボットアームに動体視力と頭脳の機能を付与する産業用ロボットビジョンシステムを開発し、お客様企業で生産ラインへの導入が始まっています。
このようにニコンは、光を活用した技術で世界中の人々や社会を支える新しい価値を創造し続けることで、持続可能で豊かな未来を実現したいと考えています。
人的資本の重要性と従業員エンゲージメント
こうしたさまざまなイノベーションを生み出す源泉は、人的資本です。ニコンでは、獲得・育成・活躍を柱とした人材戦略を推進するとともに、従業員が企業の方向性に共感し主体的に行動するための従業員エンゲージメントの向上に注力しています。
私は、従業員が「ニコンを知る」ことは自らの仕事に使命感を持ち、会社への帰属意識や満足度を高め、エンゲージメントの向上につながると考えています。このため、私は社長就任直後から、国内外の従業員の取り組みについて、私がインタビュアーとなって取材する動画を日本語・英語で発信しています。また、直接対話の場として、国内外でタウンホールミーティングを実施し、従業員とのコミュニケーションを深めています。
さらに、2024年には本社機能を兼ねたイノベーションセンターを開設しました。この施設では、研究開発機能を集約することで部門間の連携や新技術の創出を促すとともに、多様な働き方とコミュニケーションの活性化を実現するワークスペースを設けています。また、水戸や栃木の生産拠点の設備刷新やITインフラへの投資など、従業員が最大限に能力を発揮できる環境づくりを進めています。2030年度までに、生産拠点の整備に約1,000億円、ITインフラの整備に約300億円を投じる計画です。
ステークホルダーとの対話
ステークホルダーとの対話は、ニコンが持続可能な成長を実現する上で欠かせない要素です。 株主や投資家、取引先、従業員、そして地域社会を含むすべてのステークホルダーに対し、私たちのビジョンを語り理解を求めることは経営者としての重要な責務であると考えています。同時に、外部からの意見や期待を社内に正しく伝え、組織全体の活動に反映させていくことも欠かせません。
ニコンは「信頼と創造」の企業理念のもとに、光の力で持続可能な未来を切り拓く企業をめざしています。また、対話を通じて、ニコンのめざす未来をステークホルダーの皆様とともに築いていきたいと考えています。引き続き、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
2025年7月
代表取締役 兼 社長執行役員COO
德成 旨亮