高精度ステージ制御
技術概要
計測機や加工機などにおいて、対象とする物体をステージ上に置き、駆動指示量にしたがって正確に駆動できることにより、所望の箇所を計測・加工することが可能になります。高精度、高速に制御できることにより、精度の良い計測、加工を速く行うことができ、産業用製品においては、高品質な製造、生産性の向上につながります。
ステージを駆動させるモータなどの駆動装置に、駆動させたい量に応じた電力などのエネルギーを与えこれが動力に変換され、この力がステージに加わることにより、所望の駆動ができます。駆動させたい量を把握するためにはステージの正確な位置を計測できている事、駆動のさせ方に適した駆動方式を選ぶことが必要になります。
平面ステージは一般に直交する三方向と三つの回転方向の自由度を持ち、ステージの姿勢制御と位置制御が必要です。また駆動による振動や摩擦熱などの系への影響を把握し抑制することが必要となります。
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露光装置は微細なパターンの重ね合わせ精度と露光処理の高いスループットを満たすため、大きくて重いステージを高速かつ正確に動かすことが求められます。顕微鏡でもみたい領域をユーザの指示に応じて移動させるためのステージ駆動では、高倍率の場合は高い精度の制御が必要です。それ以外でもニコンでは様々な計測機器、加工機において高精度なステージ制御が必要となります。
技術の適用事例
FPD露光装置
年々大型化が進むフラットパネルディスプレイにおいて、ガラスプレートからより多くのパネルを切り出すようになると、一回の露光でより広い範囲へのパターニングが可能な高い生産性が求められます。これを実現するためにニコンが独自開発した技術がマルチレンズ・システムです。大型ガラスプレートを効率よく露光するために、ニコンでは複数のレンズを2列に並べることで、広い露光範囲を確保しました。最大のFPD露光装置である「FX-103SH/103S」では、14本ものレンズを並べ、これを1本の巨大レンズのように精密に制御して露光しています。ガラスプレートの表面には、生産工程で受ける熱などの影響によって歪みが生じます。ニコンのマルチレンズシステムは、この歪みを正確に検出した上で、レンズ1本1本の転写像の位置や焦点位置を細かく制御して補正する機構を搭載。プレート面のわずかな歪みにも追従し、高精度な露光を可能にしています。
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この事例に関連する技術
関連技術
位置・駆動制御
機械に所望の動きをさせる指示を与え、これが制御系の入力として処理されることにより、設計通りの動きをさせることができます。予測を含めた複雑な動き、早い動きや人力では不可能な大きな力が必要となる動きが可能です。
ミラーやレンズ群などの光学系の一部を駆動することにより、光で観察対象を走査したり、所望の位置に集光させることができます。交換レンズでは焦点を合わせるためにモーターにより一部のレンズ群を動かしています。特に動画撮影時などでは高速で静粛に駆動することが求められます。走査型顕微鏡や眼底カメラ、レーザーレーダなどでは、対象物を高速に走査するためにミラーを高速に振る必要があります。
ロボットの関節などに組み込むアクチュエータユニットでは、エンコーダで計測された関節の角度に基づきロボットのアームを駆動制御することができます。
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