半導体製造を通じて
社会のさらなる発展に貢献
超スマート社会を拓く
半導体露光装置
スマートフォンなどの小さなものから自動車などの大きなものまで、
あらゆるもののスマート化が進んでいます。
そんなスマート社会に必要不可欠な存在である、半導体。
その半導体製造に大きく貢献しているのが、
ニコンの半導体露光装置です。
さまざまな機械に、
さまざまな半導体
2020年頃から多くの産業に影響を及ぼした、世界的な半導体不足。そこにはさまざまな背景がありますが、原因の大元をたどれば需要の大きさにたどり着きます。
今や、スマートフォンをはじめとした小さなものから、自動車のような大きなものまで、ありとあらゆるものに半導体が使われています。使われる種類も多種多様。一種類で完結することはまずありません。
自動車を例にとってみましょう。周囲の状況をクルマが自分で判断して運転のサポートを行う「自動化」、CO2削減のためにエンジンではなくモーターで走行する「電動化」が進んでいます。こうした進化の中で重要な役割を担っているのが、半導体です。
たとえば、歩行者や他のクルマを見つけだすのは人間の「目」に相当するカメラのセンサー。危険かどうかを判断するのは「脳」に相当するCPU。得られた情報をもとにタイヤやハンドル、ブレーキなどをコントロールするのは「筋肉」に相当するパワー半導体※です。
この他にも通信やオーディオ関係など、自動車には数えきれないほどの半導体が搭載されており、「走る半導体」と呼ばれることもあるほどです。
この自動車に代表されるように、機械が自ら見たり、聞いたり、考えたり、動いたりすることで、人間をサポートするスマート化が進んでいます。そうした社会にとって欠かせない存在が、半導体。ニコンは、その製造工程で重要な役割を果たしています。
- ※半導体のうち、電力の変換や制御ができるデバイス
半導体製造の要
「半導体露光装置」
ニコンが製造しているのは、「史上最も精密な機械」とも称される、「半導体露光装置」です。これは、基板に回路を焼き付けるためのもので、数ある半導体製造工程の中でも特に重要な役割を担っています。
役割の異なる多様な半導体があれば、これを製造するための装置も多様です。
半導体は、基板に描かれる回路の幅によって大きく「微細系」と「非微細系」に分かれており、装置によって得意な領域が異なるのです。
「ニコンはお客さまの製造する半導体に合わせ、ご希望に添えるよう、回路の細い『微細系』から回路の太い『非微細系』まで対応できる露光装置をラインアップ。さらに、製造プロセスで必要な、計測・検査装置も手掛けており、多様な半導体の製造に対応する装置を販売しています。」
そう話すのは、営業担当の姚です。
「ニコンの半導体露光装置で言うと、『微細系』の製造を主に支えているのが、ArFタイプ。ArFレーザーという波長の短い光を使っているため、基板の上に細かい回路を焼き付けることができます。『微細系』とひと言に言っても、細かさにはレベルがあり、より細かな回路を描く工程をこのタイプが担っています。」
この装置で製造されるのは、CPUなどロジック半導体と呼ばれるものや、データの記憶を行うメモリなど。人間の「脳」に相当するものが多く占めています。
■露光装置
■計測・検査装置
「一方、人間の目にあたる『イメージセンサー』、筋肉に相当する『パワー半導体』などは『非微細系』に分類され、製造には主に、光の波長が長いKrFレーザーやi線と呼ばれる光線を使うタイプの装置が用いられています。」
多種多様な半導体の製造に対応した装置を開発するニコン。そのベースとなっているのは、100年以上にもわたって磨き続けてきた光学技術。
マーケティング担当の星野は、その技術について次のように語ります。
「ニコンは光学技術を駆使して、ヒトの目には見えない小さなものを見たり、ものを写したりといったことにずっと挑戦し続けてきました。半導体露光装置は、そうした取り組みのひとつの到達点とも言えるものです。けれど半導体も半導体露光装置も、まだまだ進化の途上にあります。私たちは、これからも光を自由に操ることで、その進化に携わっていきます。」
進化し続ける半導体と、
半導体露光装置
半導体の進化も、「微細系」「非微細系」それぞれの方向でさまざまな可能性が模索されています。
まず、CPUやメモリなどにあたる「微細系」を進化させる上で注目されているのが「3次元化」です。これは、複数のチップを積み重ねるようにしてつくる方法や、半導体の回路設計を2次元から3次元的な構造に変更する方法などがあります。半導体の3次元化では従来の製造工程になかった課題が存在しますが、解決のための道筋は見えていると、マーケティング担当の加藤は話します。
「製造過程で力や熱による小さな歪みが発生しやすいのです。ヒトの目には見えない小さな歪みですが、半導体の世界では致命的な問題になります。しかし、その歪みを精密に捉えることができれば、露光工程で補正をかけていくことが可能です。ニコンでは、露光前に歪みを計測して露光装置にフィードフォワードするLitho Boosterや、inline Alignment Station(iAS)といった技術があり、これらを活用することで高い精度と生産性を実現できると考えています。」
パワー半導体などの「非微細系」の進化のトレンドは、3次元化に加え、新たな素材への対応が注目されています。これまで多く使われていたシリコンでは実現できなかった、省電力性や大電力の取り扱いに向け、シリコンカーバイド(SiC)という素材の採用が進んでいるのです。半導体は作動の際に熱を発しますが、シリコンカーバイドはシリコンよりも発熱量を抑えられるのが特長。耐久性にも優れています。
電気自動車に採用が進めば、充電のスピードを向上させたり、蓄えた電気をロス少なく動力に変換し、航続距離をさらに伸ばしたりすることが可能になります。
「シリコンカーバイドは、シリコンとは半導体材料としての物理的な特性の違いや、製造過程で発生する歪みなどをケアした露光装置が求められます。単純な話に聞こえるかもしれませんが、ナノメートルレベルでは普通のことが難しくなります。ニコンは、これまで培ってきた精密技術も活用して、新しい素材への対応も進めています。」
加藤と星野は、「微細系」と「非微細系」どちらの進化も優劣なく追いかけ続けるのが、ニコンのスタイルだと言います。
半導体と社会。この2つは、まさに相互的な関係で成り立っています。人はより社会を豊かにするために半導体をつくる。そして、その半導体が人の機能を超えるような働きをして、結果的に私たちの生活を豊かにする。ニコンは半導体装置メーカーとして、半導体と社会のさらなる発展のために挑戦し続けます。
まだ見ぬ未来のために
半導体装置事業部
加藤 将
お客さまの声を少しでも多く製品に落としていきたいと思っています。半導体は昔と比べると使われる範囲が非常に広がっています。我々の生活をより便利に、豊かにするキーになるデバイスになってきているのです。半導体露光装置のビジネスを通じて、お客さまに貢献できればそれ以上に嬉しいことはありません。
また、ニコンは半導体露光装置のラインアップが豊富であることから、自分自身も幅広い分野に携わることができ、そこにやりがいを感じています。今後も、半導体装置メーカーという立場で関わっていきながら、より良い未来に貢献できればと思います。
半導体装置事業部
星野 千恵美
半導体は、いま実現できていること以上にあらゆる可能性を秘めています。そのことはもちろんですが、半導体の製造過程でニコンのような装置メーカーが活躍していることも、より多くの方に知っていただけると嬉しいです。
そして、そう遠くない未来、私たちは新たな半導体露光装置の投入に踏み切ろうとしています。「微細系」と「非微細系」どちらの進化も追いかけ続ける、というのは簡単なことではありません。しかし、そうした積み重ねの先に、ニコンにしか生み出せない価値が見えてくると信じています。
半導体装置事業部
姚 非凡
いま、ニコン社内では「伴走活動」というプロジェクトを立ち上げています。これは、ニコンの中期経営計画に基づくものですが、地域別/顧客別にチームになって、お客さまの求めるモノやコトの本質を理解し、お客さまに寄り添うというものです。
半導体が使われる機会が拡大し、ニコンのビジネスもワールドワイドに広がっています。日本にいても、中国にいても、お客さまに寄り添う姿勢は変わりません。半導体装置メーカーとして、社会の動向を見ながらも、お客さまの一つひとつの要望に丁寧に対応していきたいです。
- ※所属、仕事内容は取材当時のものです。
公開日:2023年2月6日
- 半導体露光装置の製品紹介はこちら
製品の詳細情報をご紹介します。
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パート2 - 報道の最前線、その先へ
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